スタッフの個人アカウントが共感を生む。複数のSNSで挑む「3COINS」の販売戦略

コロナで多くの日常が激変し、企業が消費者との関係を模索するなか、SNSで消費者と密につながり、売り上げを伸ばしている「3COINS(スリーコインズ)」。

消費者の心を巧みに捉えてきた同店のSNS戦略には、どのような工夫があるのだろうか?

女性視点ポイント

  1. ターゲット層によってSNSツールを使い分ける
  2. スタッフの個人アカウントで発信することで消費者に共感を持たせる
  3. スタッフたちのモチベーション維持のため配信をインセンティブに結び付ける

Twitterは「オタク層」に、 Instagramは「主婦層」に

株式会社パルが運営する「3COINS(スリーコインズ)」は、300円を中心とした雑貨を扱う。現在全国に200店舗以上を展開しており、店内にはインテリア雑貨・キッチングッズ・ファッショングッズ・モバイルアイテム・アクセサリーなど豊富な種類の商品が並ぶ。アパレルメーカーが手掛けるだけあって、ひとつひとつの商品がそのリーズナブルな価格からは考えられないほど、おしゃれでハイセンスなのが特徴だ。

2020年9月、同店は待望のオンラインショップをオープンした。これまで実店舗のみの販売でなかなか来店できなかった消費者も、商品を手軽に入手できるようになった。

こうした実店舗とオンラインショップ、両方の集客に大きな影響を与えているのが、SNS戦略だ。ブランド唯一のSNS担当である後藤志歩さんは、「Twitter(ツイッター)はアニメや漫画が好きな人向け、Instagram(インスタグラム)は主婦層向けとして使い分けています」と説明する。後藤さんによると、Twitterでの発信はアニメやアイドル、ゲームなど同社で「ヲタ活」とくくる特定ジャンルにおいて良い反応を見せるという。

一方Instagramでは、生活雑貨やキッズアイテムの情報に対して反響が大きい。月2回程度開かれる商品会議では、商品部スタッフから主婦目線での活用方法をじっくり聞き出し、そこからInstagram向けの文章を練って配信していく。そのためか、TwitterとInstagramの投稿内容を見比べてみると、雰囲気が違うことがわかる。それぞれの読者の傾向に合わせて、後藤さんが文面に工夫を凝らしているのがよく伝わってくる。

3COINS+plusトレッサ横浜店

スタッフの個人アカントで発信し共感を呼ぶ

Twitter、Instagramに加え、公式サイトのブログなど、ターゲット別にツールを分けて精力的な配信を続ける同社だが、なんといっても最大の特徴は、SNSの専任担当である後藤さん以外にも、各店舗スタッフが「個人名+店舗名」のアカウントで、自由に投稿していることだ。「もともと社内のアパレル部門には、『スタッフインフルエンサー』という評価制度があります。スタッフの個人名が入ったアカウントで投稿することで、お客様にスタッフのファンになっていただき、そこから売り上げにつなげようとする会社の狙いがあるんです」と後藤さん。

スタッフを評価する際は、フォロワー数の多さと投稿記事を通じてどれぐらい購買があったのかなどが対象となる。現在活躍する店舗スタッフ兼投稿スタッフたちは、約30名。彼女たちは投稿への反響次第で、給与以外にもインフルエンサーとしてのインセンティブを手にすることができる。社員に限らずパートやアルバイトスタッフでも評価対象になるため、自然と士気も上がる。「とはいえ、課題もあります。『3COINS』は社内の他ブランドと比較しても、投稿スタッフの数が少ないんです。さらに、アパレル部門に比べてフォロワー数も少ない。会社はもっと発信できる人を増やしたいのですが、まだスタッフにそこまで浸透できていません」。悩む後藤さんだが、少しでもフォロワー数を伸ばし、スタッフたちのモチベーションを上げようと日々奮闘している。

2020年9月にオープンしたオンラインストア

投稿スタッフのやる気を持続させる一番の近道は、フォロワー数を増やすこと。そう考え、まずはInstagramの「3COINS」公式アカウントから各スタッフの投稿を毎日リポスト(投稿をシェアすること)する。こうすれば、公式アカウントのフォロワーからも、スタッフたちの投稿が見えるようになる。現在130万強までふくれ上がった同店のフォロワーたちは、これまで目に触れなかった現場スタッフの商品写真やメッセージなどを読み、そこで彼女たちをフォローすることも多い。「コロナで消費者の生活が一変するのを見て、会社に提案してこのような働きかけを実行してきました。多いときは1つのリポストにつき400人ぐらいフォロワーが増えることもあります」(後藤さん)。

実際の投稿を見ると、各店舗から発信される投稿内容は、十人十色でまったく飽きが来ない。写真の撮り方や文面から、それぞれの個性がにじみ出ており、スタッフの人柄に親近感を覚えることも。Instagramの利点を見事生かした戦略であることは間違いないだろう。

3COINS店舗スタッフによるInstagram。インセンティブ制でモチベーションにつなげている

次の目標はYoutube配信

SNSの持つそれぞれの特性を理解し、実際の売り上げに貢献しようと画策する「3COINS」だが、消費者からの思わぬ発信により、いくつもの商品がブレークした過去も持つ。2019年末頃に店頭に並んだ「シリコーンたわし」と、2020年春頃に販売になった「ワイヤレスステレオイヤホン」がその良い例だ。汚れをきれいに落とせると評判の「シリコーンたわし」は、あるユーザーの投稿により一気に火が付いた。投稿内容を提示したスマートフォンを片手に、何人もの消費者が商品を求めて来店した。後藤さん自身も直接対応している。

「ワイヤレスステレオイヤホン」も同様だ。同店の公式ブログで、月1回の新商品告知をしたところ、ある機械好きのユーザーが自身のTwitterやInstagramで発売前の同商品を紹介。商品が店頭に並ぶや否や売り切れてしまったのだ。こうした事態を目の当たりにするたび、SNSの持つ絶大な力を後藤さんはひしひしと感じている。「今後はYoutubeなどの動画に挑戦してみたいと考えています。写真だけでは商品の良さが伝わりにくいので、しっかり使い方や商品の魅力を見せられるような動画を作ってみたいですね」と意気込む。「特に『3COINS』の主なターゲット層である主婦の方は、お子さんがいて普段からじっくり商品を見ることができません。また、自粛ムードで店舗に行くのを控えている人も多いと思います。今後この状況が続けば、SNS経由の購入はますます増えていくでしょう」(後藤さん)。

長引くコロナの影響で、売り上げが激減して頭を抱える企業も多い。しかし、持てる手段を駆使して挽回に賭けることも不可能ではないーーそんな計り知れない可能性をSNSは感じさせてくれる。

SNSユーザーから人気に火が付き、約20万個を売り上げるシリコーンたわし。
店頭にはスマートフォンを手に商品を求める姿も(300円・税別)

新商品告知ブログに載せた途端、SNSで拡散され30万個以上を売り上げたワイヤレスステレオイヤホン。売り切れが続出した(1500円・税別)

株式会社パル 3COINS本部 SNS担当 
後藤志歩様

〒541-0045大阪府大阪市中央区道修町3-6-1京阪神御堂筋ビル10階
■事業内容:婦人服・紳士服・雑貨等の企画・製造及び卸・小売
■年商:107,407百万円
■創業:1973年10月

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