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ネット商品数96万点、実店舗700店超えリユースショップが大人気女性客7割「セカンドストリート」
ネット商品数96万点、実店舗700店超えリユースショップが大人気女性客7割「セカンドストリート」
2021年1月10日
女性視点マーケティング
女性トレンド総研
コロナ禍で売り上げが減少する会社が相次ぐなか、新規の顧客を増やしているリユースショップがある。自粛生活中に自宅を整理する人が増え、そこで出た中古品の買い取り先としてニーズが高まっているのだ。女性客7割を維持する「セカンドストリート」の強みとは一体何か?
女性視点ポイント
1.季節に合わせた店内ディスプレイで消費者の気分を盛り上げる
2.全店舗にデータベースを配備し安心・公正な査定を実施する
3.「お取り寄せサービス」の活用など実店舗とオンライン店舗を結ぶ取り組みを作る
目次
1.自粛生活で高まるリユース需要
2.季節で変わる魅力的なディスプレイ 明るい内装で女性を引きつける
3.下がり始めたリユースへの抵抗目指すのは「生活の一部になること」
■自粛生活で高まるリユース需要
リユースショップ「セカンドストリート」は、株式会社ゲオホールディングスのグループである株式会社セカンドストリートが運営する。同じグループ内には、DVD・CD・ゲーム・書籍等のレンタル・売買で有名な大手ショップ「ゲオ」があり、もともと同店で手掛けていたパッケージソフトのリユース事業を拡大しようと衣料品でチャレンジしたのが、「セカンドストリート」にあたる。
2008年に本格的に乗り出したこの事業は、着実に顧客を増やし、現在では全国に約700店舗を構えるまでになった。その勢いは国内だけにとどまらず、アメリカに8店舗、マレーシアに5店舗、台湾に1店舗と拡大し続けている。
衣料・服飾品や家具、家電などを取り扱う総合リユースショップ「セカンドストリート」のほか、セカストの取り扱い商材を豊富に取りそろえる大型店「スーパーセカンドストリート」、アウトドア専門店や楽器専門店など商材に特化した専門店を運営しており、全国各地で多くの利用客に親しまれている。
今回のコロナ騒動で全国的な自粛傾向が広まるなか、同店もやはり全体的な買い取りや販売量の低迷を避けることができなかった。しかし一方で、これまで関わりのなかった新規の顧客層や品物が目立ってきたという。
リユース品のほか、オーガニックコットンやリサイクルテキスタイルなどを採用したオリジナルブランドA.Q.ANTIQULOTHES(アンティクローズ)の取り扱いも
代表取締役社長の今泉有道さんは、「長い自粛生活で改めて自宅と向き合った時、モノがあふれ快適な環境ではない事に気付いた人も多かったのでは。自宅の整理をする人が増え、新たな客層・物が買い取りで入ってくるようになりました」と説明する。
実店舗が一時低迷した一方で、WEB店舗での売買量は順調に伸びたという。そこには、「金額の大小よりも、社会とのつながりや資源を大切したい」という、利用者の新しい価値観が見え隠れする。新型コロナで生活が一変して1年近く。郊外店を中心とした各店舗では、こうした新しい価値観に押されるように、再び客足が少しずつ戻り始めている。
■季節で変わる魅力的なディスプレイ 明るい内装で女性を引きつける
ただ陳列されているだけでは見えてこないひとつひとつの商品の魅力が、シーズンに合わせた飾りを施されることで、突然輝きを増す。買い物をするにしても、買い取りを依頼するにしても、こうした実店舗のハイセンスな演出力は、女性客に熱く支持される要因の1つである。目を引く店舗づくりを維持するために、同店では「MD(マーチャンダイジング)計画」を確立している。
都心型店舗での来店者は20代~40代の社会人が中心となっている
専用のMDカレンダーを用意し、時期を逃さず、季節に応じた売り場を作るよう心掛けているのだ。また同店では、自店で商品を買い取りし、自店で販売するというシンプルさを貫いている。そのため店舗ごとに置かれている商品が異なってくる。
行った先の店舗で欲しい物が見つからなければ、近隣店舗に足を運べばお気に入りの一品を見つけられることも。買い取りについては全店舗にデータベースを導入し、他店舗の買い取り金額を参照できるようにしている。そのため、持ち込まれたその場で適正価格を算出できる。
「もちろん各現場には一定の裁量が与えられているので、持ち込んだ商品の状態により多少の価格変動はあります」と今泉さん。買い取りで店舗を訪れる際は、査定までの待ち時間を各店舗のホームページで表示しているため、時間の目安を確認した上で出かけられるのがうれしい。
アパレル以外にもアウトドアやシーズン商品を見せる、セレクトショップのような店内
さらに、オンライン店舗で特筆すべきは、「お取り寄せサービス」を導入していることだ。これは「セカンドストリートオンライン」で販売している商品を、実店舗で試着できるサービスだ。
商品取り寄せにかかる送料や手数料は一切無料なので、オンラインでの買い物が不安な人にも安心して買い物をしてもらえる。(※サービス利用には、会員登録済みのPontaカードを持っていることが条件。)こうしてみると、「セカンドストリート」の備える強みは群を抜いている。
メンズ特化のコンセプトショップとして2020年7月にオープン
しかしなんといっても、利用客が同店を選ぶ最大の理由、それは全国に広がる圧倒的な実店舗の存在であり、今泉さんたちが熱心に築き上げてきた知名度の高さゆえの安心感だろう。きれいな店内で安心して、リユース品の売買ができること。消費者のニーズを満たす要素が、店内には散りばめられている。
■下がり始めたリユースへの抵抗目指すのは「生活の一部になること」
新型コロナで生活が一変し、消費者の価値観がさまざまに変化したいま、リユース事業として「セカンドストリート」はどのような未来を見据えているのか?はからずも世の中は、手元のスマートフォンで手軽に中古品を売買できる、「フリマアプリ」なども人気を集めている。
「CtoCの台頭によりリユースが当たり前になってきました。その分、リユース業者として求められる事が増えてくると思います。こちらが更なる成長を遂げていかないと、お客様の求めるサービスと私たちの提供するサービスの間に、ギャップが生まれる可能性が高くなります」と今泉さんは懸念する。
それでも、CtoCでのリユース売買が活発になっていることは、「ライフスタイル=リユースが生活の一部になる」という未来を描く同社にとって、リユースをぐっと身近に感じる良いきっかけになっていると考える。「これからは中古に捉われない、“新しい2次市場で活動の場”を広げていく事が重要だと考えています。
『不要になったものは、まとめて・簡単・スピーディに、でも信頼できる人にゆだねたい』と願うお客様のニーズにどれだけ答えられるか。それが生き残りの鍵であると思っています」と今泉さん。
2023年3月末までに国内で800店舗を、海外では2021年3月末までに19店舗を出店する予定の同店。勢いを増した「セカンドストリート」はすでに消費者の生活の一部にしっかり根を下ろし始めているのではないだろうか。
株式会社セカンドストリート 代表取締役社長今泉有道 様
〒460-0014 愛知県名古屋市中区富士見町8番8号OMCビル
■事業内容:グループ会社の経営企画・管理ならびに子会社の管理業務受託
■年商:3,050億57百万円
■創業:1986年6月
日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。