「食が主役」を現場で徹底!流行を追わず感動したものだけを商品にするDEAN&DELUCA

町で見かけない日はないぐらい、多くの女性が持ち歩いている大人気の「DEAN & DELUCA」のエコバッグ。

主に飲食事業を手がける同社が日本に進出したのは18年前だ。以来、多くの消費者を飽きさせないその上質な味と商品力は、どのように生み出されているのだろうか。

女性視点ポイント

  1. トレンドではなく自らの感動を商品にする
  2. 食に対する創業者の理念を現場に生かす
  3. 安定して良質な食を収穫するため自然に配慮する

目指すのは「レストランクオリティ」

米国ニューヨークでジョエル・ディーン氏とジョルジオ・デルーカ氏によって同社が設立されたのは1977年のことだ。デルーカ氏のルーツであるイタリア、そして地中海の食材をニューヨークで紹介したいと立ち上げた小売事業は、その印象的なロゴとともに瞬く間に世界へ広がっていった。

店舗全体が「見せる」ディスプレイに。ディーンアンドデルーカのある生活を自然とイメージさせている

日本では2003年より、品川・六本木・青山など東京の中心部を始め、関西・九州に順次店舗を展開している。マーケットストア17店舗、カフェ35店舗、レストラン2か所(マーケットストア内に設置されたテーブル席)の計52店舗を構え、「LIVING WITH FOOD(食することとは人生を味わうこと)」の創業理念のもと、日々良質な食材を提供し続けている。食材の他にも、カップやバッグ、ブライダルギフトやプチギフトなどの雑貨事業でも大きな成功を収めている。

店舗で毎日調理されるデリの数々。チーズやワインと併せ、お祝いや記念日など、特別な食卓に選びたくなる
Photo by MASAHARU OKUDA

今回のコロナ禍で実店舗の閉鎖が相次ぐなか、同社のオンライン販売での売上は2〜3倍まで跳ね上がった。緊急時でも食べたくなる同社のクオリティ。一体何が消費者をそこまで引き付けるのだろうか。

「店舗の料理人たちは全員、レストランや個人店で腕を磨いてきたメンバーばかりなので、レストランクオリティの料理を楽しめるんです」と胸を張るのは、株式会社ウェルカム マーケティング室の菅野幸子さんだ。「加工されたものではなく、新鮮な野菜や素材が毎日届けられ、一から仕込みを行います。『見るたのしみ・つくるたのしみ・食するよろこび』という当社のコンセプト通り、食のおいしさを最大限に引き出し、大切な人と家で囲む食卓を大事にしています」と語る。

菅野さんの言葉通り、同社の料理は消費者にとって特別な食卓となっている。今回のコロナ騒動の中でも結婚記念日を祝いたいと、1人約4000円のパーティメニューを注文した夫婦がいた。外食で祝えない代わりに、自宅で思い出に残る時間を過ごしたいーそう考えた時に、特別な料理として選ばれたのが「DEAN & DELUCA」のフードだった。家庭の食卓を重視する同社の理念が、消費者にもしっかり伝わっているのがよくわかる。

トレンドを入れ込むのでなく自分たちの食べたいものを追いかける

創業以来、常に新鮮な食材とメニューで消費者を虜にしてきた同社だが、意外にもそこにはトレンドを追わない姿勢が貫かれている。代わりにあるのは、自分たちが食べたい物、感動した物を広めていきたいという熱意だ。食材を探す視察旅行には、料理人、バイヤー、営業そしてマーケティングらジャンルが異なる組み合わせで出かける。行った先で、「これは何だろう?」と思わせる食材を見つけ仕入れてくるのだ。ドリンク、野菜、パン、調味料など印象に残ったものは何でもありだ。「それぞれの専門家たちが感動を覚えたものは、お客様にも伝わりやすい。一回食べてみてと自分たちの感動をプレゼンテーションするのが、私たちのやり方ですね。でも実はこれ、創業者のディーンとデルーカがやってきた事をそのまま実行しているだけなんです。そのためマーケティング的な観点から、今のトレンドを取り入れていこうなんてことはやっていません。」(菅野さん)視察で見つけてきた食材は、その後店舗メンバーたちに「勉強会」という形で共有される。どうしてその食材を気に入ったのか、どのように料理して食べるのかを熱心に伝えるうちに、他のスタッフたちにも彼らの「体験」が伝播していくという。「この『体験』が重要なんです。自分たちがどれだけ『体験』するかによって、お客さんに伝えられる熱量も変わってきます」と菅野さんは指摘する。

ちなみに、現在同社が扱う食材は、海外からの輸入品が5割で残りの5割は日本独自のものを仕入れている。特に、店舗で提供される料理は地域によってメニューが異なるというから興味深い。もちろん、スタンダードメニューはどこも共通して扱っているが、シーズナルメニューは旬の野菜や地域特産の食材など、それぞれの店舗ごとに任せている。京都なら京野菜、福岡なら地元でしか出回らない食材などを取り入れてメニューを考案する。ただし味やクオリティにばらつきが出ないよう、本社でのチェックは欠かさない。店舗によって、その土地特有の料理が味わえるのもまた、同社の魅力だ。

本家から受け継いだ食への想いを メンバーで共有する

現在「DEAN & DELUCA」の従業員数は、アルバイトを含めて1500人弱にのぼる。組織が大きくなればなるほど、創業者の信念が形骸化していく企業も多いなか、同社ははっきり目に見える形でその信念を共有している。創業理念である「LIVING WITH FOOD(食べることとは人生を味わうこと)」を掲げるなかで、現場では創業者にならって「Food is hero(食が主役だ)」を合言葉に業務に励んでいるのだ。菅野さんもデルーカ氏から直接教えを受けた一人。「創業者は『本来、食は主役で美しいもの。なのに、なぜ倉庫にしまう必要があるんだ?』という考えの持ち主です。そのため私たちの店舗には、倉庫で使用するエレクター(業務用ラック)に商品が直接並んでいます。言ってしまえば、店舗自体が倉庫であり、食を主役にするためには凝った演出は一切不要なんです。」食の味わいだけでなく、その存在自体に深くこだわる創業者の姿勢は、店内ディスプレイや品物の置き方を決めるたびに「本当に食が主役になっている?」とスタッフの会話にも出てくるほど徹底している。さらに同社の食への追及は、世界的に叫ばれているSDGs(持続可能な開発目標)に深く結び付いている。おいしく良質なものを作るためには、持続的な生産者への還元が必要であり、豊かな食を生み出す土地を健康に保たねばならないというのが同社の考え方だ。

「『おいしいを続けるためにできること』というビジョンをたて、不要なゴミを減らすために紙製のドリンクのふたを導入したり、土に帰る容器を使うなど試行錯誤しています。SDGsももちろん重要ですが、私たちにとって豊かな食文化を培う気候風土の守るためには、当たり前の活動なんです」と菅野さん。同社の取り組みは消費者にも高く評価され、「脱プラスチックのフォークとナイフを作ってほしい」など、さらに具体的な声を得られる貴重な機会となっている。良質な食材でひとりひとりの人生を豊かにしたいと願い、食を育む自然を守ろうと真剣に向き合う。いつまでも衰えない同社の魅力の原点はここにある。

株式会社ウェルカム
マーケティング&コミュニケーション マーケティングディレクター
菅野幸子 様

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル 1F
■事業内容:輸入食品および加工食品の製造・販売を手掛ける。現在、マーケットストア、カフェを52店舗展開。他にもケータリングからカタログギフトまで様々な食との出逢いを提案。世界から取り寄せたこだわりの食材は消費者に人気が高い。食器やキッチンツールなどデザイン性の高いライフスタイル製品も販売する。
■年商:42億4,600万円(2010年2月期)
■創業:2000年2月(株式会社ディーンアンドデルーカジャパンの設立は2002年。)

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