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1910万件のビッグデータから個々の肌ケアを提案 パーソナライズドサービスブランド「APEX(アペックス)」

1910万件のビッグデータから個々の肌ケアを提案 パーソナライズドサービスブランド「APEX(アペックス)」

1910万件のビッグデータから個々の肌ケアを提案 パーソナライズドサービスブランド「APEX(アペックス)」

2021年5月10日

女性消費者行動

女性トレンド総研

「肌には一人ひとり個性があり、『性差』よりも『肌個性』に合ったケアが重要」。大手化粧品会社ポーラのこんな発表が、静かに注目を集めている。約30年前、それぞれの肌質に合わせたケアを実施するために立ち上がった「APEX」。いま男女問わず、この「パーソナライズド」ケアに引かれる消費者が増えている。


クレンジングから化粧下地、ファンデーション、パウダーなどメークアイテムまでをラインナップ。862万通りというフィッティングパターンで究極のパーソナライズケアを提案する



女性視点ポイント

  1. 1,910万件の肌のビッグデータを活用し「個別肌」を診断する(2021年1月現在)

  2. 「個別肌」に合わせたスキンケア商品を組み立てる

  3. 専用アプリでお手入れの継続性を高める


 

目次


1.「生きている肌」をそのまま分析

2.主な顧客層は20~40代女性 男性客の姿も

3.未来を見据えた自分だけのケアを実現

 

■「生きている肌」をそのまま分析


株式会社POLA(ポーラ)は、主に女性向けの化粧品を製造・販売する国内大手の化粧品メーカーだ。化粧品の販売・カウンセリング・エステが受けられる「ポーラザビューティー」など約3,800店のショップと、全国百貨店の「ポーラコーナー」68店舗(ともに2020年12月時点)を展開する傍ら、国外7つのエリアで積極的な海外展開も行っている。

2021年3月、男性131名を対象に肌分析を行ったところ、特に水分量・油分量では個々の肌によって違いが見られ、2019年のリニューアル後から1年で蓄積した肌データ12,284件の範囲内に男性たちの分析結果が点在していることがわかった。このことから、肌には男女差がなく、むしろそれぞれの「肌個性」が存在すること、そしてそれに合わせたケアが重要であることを、改めて認識する結果となった。


同社では30年以上前からこの「肌個性」に着目。1989年にはパーソナライズドサービスブランド「APEX(アペックス)」を立ち上げている。「APEXには『生みの親』と呼ばれる2人の研究員がいます。1人は『肌は一人ひとり違う。肌を分析した結果に基づいて化粧品を作りたい』と考え、もう1人は『直接会わなくても細胞を見れば肌がわかる』と考えていました。彼らが出会って生まれたのがAPEXです」と語るのは、APEXブランドマネジメントチームブランドマネージャーである田村明子さんだ。


その言葉通り、「肌個性」を重視する「APEX」の分析は徹底している。肌の動きを捉えた14秒の動画を元に、肌深部の状態を簡単かつ高精度に分析する。AI技術を駆使した業界初のこうした試みにより、「現在の肌状態を知るコンディション分析」と「未来の肌の可能性を知るポテンシャル分析」を同時に行うことができる。


特に興味深いのは、同社がコツコツと蓄積してきた1,910万件のビッグデータ(2021年1月現在)を基にしている点だ。他の追随を許さない、この圧倒的な情報量を活用し、862万通りのフィッティングパターンから各顧客に合ったものを選び抜いていく。まさに究極の「パーソナライズド」である。


自分のカラダに必要な食材が届く
クレンジングから化粧下地、データの分析結果から、肌には男女差ではなく肌個性が存在することが明らかになった


■主な顧客層は20~40代女性 男性客の姿も


そんな高度分析を行う「APEX」は、20~40代の女性を中心に熱く支持されている。それでも「最近は男性の分析希望者が増えています。肌のケア情報も少ない上に、男性肌=皮脂が多いという印象も強く、ご自身の肌個性に合わないケアをされている方も多いようです」と田村さん。自分の肌ケアに関心を持ち、店頭に足を運ぶ積極的な男性が増えていると感じる。

実際、店頭で「APEX」のサービスを受ける際は、次の3ステップで肌プランニングが進められていく。


  1. 肌や生活習慣等を伝えてプロファイリングを行う 

  2. 肌を撮影し静止画と動画で分析する

  3. 分析結果を元に自分に合ったアイテムを選びケア方法を教わる


相談時間は約30分ほどだが、その内容は濃密だ。特に気になるのが、プロファイリングの中身だ。顧客の住むエリアの気候や毎日の習慣、嗜好まで取り入れながら、一人一人異なる商品を設計していく。その細やかさは商品パッケージにも表れている。


パッケージ正面を見ると、3~5ケタの数字が目に飛び込んでくる。「デザインコード」と呼ばれるこの数字は、テクスチャーや成分など商品の特徴を表したものだ。例えば洗顔料を例にとると、左の数字からそれぞれ「アイテムナンバー」「落とし方」「水分・皮脂のうるおいバランス」「ゆらぎタイプ(安定・にきび・敏感)」と意味が決まっており、丁寧なプロファイリングで導き出した結果に従って、一人一人に商品アイテムを組んでいく。「お客様には、『長年蓄積されたデータの正確性に安心でき、自分だけのケアができる』と喜んでいただけています。また、『担当スタッフをお肌のかかりつけにして美肌をキープできている』というお声もあります」(田村さん)。


「GREEN SPOON」
アイテムそれぞれに使用ステップや商品の特徴を現した数字が印字される「デザインコード」


■未来を見据えた自分だけのケアを実現


自分専用に「処方」されたアイテムで個別ケアができる「APEX」。しかし、自宅での「継続したお手入れ」は、ついさぼりがちになってしまうことも。そんなときは、専用アプリの活用がおすすめだ。現在26,000人(2020年時点)が利用する「APEX肌ログ」は、2年分の肌データを蓄積。自宅でできるお手入れ動画の配信を閲覧したり、肌分析の結果を振り返ることもできる。自宅でも、根気強く自分の肌と向き合える工夫がされており、お手入れの継続性を高めるのに一役買っている。


ちなみに、同社の独自リサーチによると、ここ8年で日本女性の肌は全国的にきれいになっているという。肌のうるおい・キメ・毛穴・シミ・ニキビ・マイクロダストへの耐性など、6点に絞って調査した結果、「美肌スコア」は全体的に上昇している。


このように日本女性の美意識が年々高くなっていくにつれ、「パーソナライズ」に着眼したサービスは、これからも大きく躍進していく可能性が高い。


30年前、一足先にスタートを切った「APEX」。独自の視点から肌を追究し続けるその奮闘ぶりから、今後も目が離せない。


「数字と森羅万象」をテーマに展開するパッケージデザイン。肌の分析結果をもとに「わたしだけのデザイン」で提供される
「数字と森羅万象」をテーマに展開するパッケージデザイン。肌の分析結果をもとに「わたしだけのデザイン」で提供される


「数字と森羅万象」をテーマに展開するパッケージデザイン。肌の分析結果をもとに「わたしだけのデザイン」で提供される


株式会社ポーラ

APEX

ブランドマネジメントチーム

田村明子様

東京都品川区西五反田2-2-3

■事業内容:化粧品製造・販売・エステサービス提供

■売上実績:102,888百万円(2020年12月現在)

■創業:1929(昭和4)年静岡市

■設立:1946(昭和21)年7月11日



 

日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。

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