
【トレンドセミナー】2017年のトレンドは「解放区」
本レポートは、2017年2⽉15⽇に発表された株式会社ハー・ストーリィ の「⼥性客トレンドセミナー2017」の内容をもとに、トレンドの着眼点として発表した「ライフコース・マーケティング」を詳細に説明するためのものです。
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株式会社ハー・ストーリィ
代表取締役社長 日野佳恵子
2015年「新消費創生」、2016年「迷路の中のオンナたち」を経て
2017年のトレンドは「解放区」
毎年トレンドセミナーで女性客を獲得するためのキーワードを提案しています。
2015年「新消費創生」
前年の2014年に主婦層にもスマートフォンが浸透しネットでの検索から購入、SNS 浸透度の高さに注目しました。
また政府の「女性活躍推進」のスローガンから主婦が「仕事」を求め、就活のためのサービス(ビジネスマナーから服装、保育など)が話題に。日常生活では「コスパ」と「プチ贅沢」、デコやDIYなど「視感買い」などが消費のキーワードとお伝えしました。
2016年「迷路の中のオンナたち」
安倍政権が進める「女性活躍」政策の結果、女性は疲弊しストレス度もピークを迎えました。
社会進出をしろと言われても環境が整っていない、少子化で子どもを産めと言われる一方で管理職への登用が来る、矛盾を感じストレスがマックスでも前に進むしかない。頑張っても先が見えない。「なりたい自分になれない、迷路の中のオンナたち」は、疲れた彼女たちの気持ちに寄り添う、「ラクにキレイ」「たしかに効く」「いい買い物と思える&言われる(イイね!される)」そして写真映えがする(絵的にイイ!)ものを買って癒やされていました。
そのため女性マーケットは多彩で多様性が加速している、とお伝えしました。
そして2017年、女性は「解放区」を迎えました。
- 女の人生の解放(妻として母として、の常識から開放)
- 女の仕事観の解放
- 女のプライベートの解放
例えば2016年後半に大ヒットした「家事代行・偽装結婚」のドラマ高所得者向けでですが、私にとっては「家事を外注する姿を見せて良い」、という“開放”です。家事代行は普通の人には贅沢、家の中に入ってもらって代行をしてもらうのは後ろめたい、というかつての常識から解放されるのです。
事実、家事代行の会社には就職希望者が殺到しています。
ターゲット(点)で見るのではなく、
ライフコース(線)の上のペルソナで見ると…
Her Face15はもっとシャープに見直せる
「日野さん、15タイプの次は18?20?タイプとどんどん増えるのでしょうか」
「ペルソナを取り入れるとターゲットが狭くなって売上が落ちないか不安」
2016年(平成28年)にHer Face15を発表したあと、このような質問や相談を受けることが増えました。
正直なところ、私も次は18タイプぐらいに増えていくのではないか、と思う一方で本当にそれでよいのか、細分化を追求することで女性客マーケティングはさらに深化するのか、自問し、多くの書籍や情報で調べていたときに青木幸弘先生の「ライフコース・マーケティング」に出会いました。この考え方を基本にすると私たちのペルソナは18や20に増えるのではなく8コースで捉えることができたのです。そしてHer Face15を見直し、ライフコースでペルソナ化をする必要性を実感したのです。
日本人の常識や固定概念が変わり、
マーケティングはアプローチ方法を見直す時期。
切り口は「ライフイベント」
≪ライフコース・マーケティング例≫
1.アラフォーの管理職女性から専業主婦へ。【妊活】と【育児専念】
▶︎不妊治療のためにスパッと仕事(キャリア)をも捨てる。妊活で子どもができたら結婚、出産後は専業主婦へという人も。結婚や出産は昇格の後でもよい。
2.妊娠・出産後に結婚する【さずかり婚】夫婦増加。
▶︎妊娠、出産後に“ファミリーウェディング”と称して、生まれた子どもと一緒に挙式。
結婚→妊娠→産休・育休・退職→出産・育児という固定概念の順番は逆でもよい。
3.独身女性の【ウェディングドレス】記念撮影。
▶︎一人でウェデイングドレスの写真を残す「シングルフォトウェデイング」。
ウェディングドレスの写真=自分が一番キレイな瞬間を優先、結婚とウェデイングドレスを着るタイミングは別々でもよい。
4.ワーキングマザーは【小学生受験】で子どもに早め投資。
▶︎中学で受験させるより小学校受験のほうがコストと時間および自分のキャリアプランにもメリットを感じ「お受験」に参戦。子どものライフイベントの順番を変えている。
5.シニアは【自分の葬式】を自分でプロデュース。
▶︎終活セミナーに参加、遺影から葬式のスタイル(予算、規模など)を本人が決める。
生前・死後の両方のイベントを事前に予測し、対応を決めることで本人、家族(遺族)が安心するそう。
上のコラムの「3.独身女性が【ウェディンドレス】を着てシングルフォトウェディングをする」事例は、女性のお一人さま撮影のニーズがあるなんてと思われるかもしれませんが、ビジネスになっています。
結婚しても3組に1組は離婚といった離婚率ばかりが話題になりますが、離婚すると再び結婚の機会が訪れます。
厚生労働省によると2015年(平成27年)の1年間で結婚した夫婦のうち、夫婦の片方または両方が「再婚」だった割合は26.8%と4組に1組が「2回目(以上)」。家族や結婚式のあり方もバリエーションに富んできました。シングルと一言でいっても未婚非婚、あるいは離婚してシングル アゲインという人も。つまりニッチで影響力が小さい、インパクトがないと思っていたマーケットのボリュームが大きくなり、ライフイベントの順番も多彩になり、常識や固定概念が違ってきている、アプローチを変える必要があるのです。
ワーキングマザーの子どもの「受験」というライフイベントのタイミングにも変化が(上コラム4)。学校側も学童やアフタースクールの制度を用意※、結果、募集に成功しています。ライフコース・マーケティングはまさに消費のタイミングとニーズを理解するのに有効な考え方なのです。
2020年には働く女性は76%、単身・おひとりさまも増え、高齢化はさらに進んでいるでしょう。女性たちのライフコースは絡み合い、ライフイベントごとに「どの人生が幸せなの」「どの方向に行けばいいの」と選択の向こう側にある幸せを探しています。そのとき、狙っている女性客はどこにいるのか。ライフコース・マーケティングで女性客の兆しを見つけてください。
【参考資料】主なライフイベント例
通過儀礼
⼈間が成⻑していく過程で、次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀礼。⼈⽣儀礼ともいう。
七五三、⼊学式、卒業式、昇進・転職、還暦など
冠婚葬祭
⼈が⽣まれてから亡くなり、その後に⾏われるものまで含めた家族的催し物全般を指す⾔葉である。
冠(かん):成⼈式 / 婚(こん):結婚式 / 葬(そう):葬式 / 祭(さい):法要
年中⾏事
毎年特定の時期に⾏われる⾏事の総称。狭義では伝統的な事柄、特に宮中での公事を指すが、広義では個⼈的な事柄から全国的・世界的な事柄なども含まれる。