女性のくくり方を間違えない。女性を年齢で分類するのはNG
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女性のくくり方を間違えない。女性を年齢で分類するのはNG

女性のくくり方を間違えない。女性を年齢で分類するのはNG

女性のくくり方を間違えない。女性を年齢で分類するのはNG

2021年3月17日

女性視点マーケティング

女性トレンド総研


 

目次

1.女性の分類によく使われるF1層、F2層という言葉はもう古い

2.女性は、年齢、仕事、既婚未婚、子どものあるなしなどで、 興味関心がまったく異なる

3.「私が子育てなんて想像つかない」と言っていた女性も、 出産後は、子どもファーストという別の女性になる

4.母親クラスターは、女性全体の中で、 別格の価値観と消費パワー行動を持つ

5.ママ同士や先輩ママたちの情報を必要とする。 ケーススタディだけが頼りとなる

6.母親クラスターへのマーケティングは大変さを認め、 ストレスをきちんと認める姿勢を見せることだ

 

■女性の分類によく使われるF1層、F2層という言葉はもう古い

女性を集団群(クラスター)で語りたい時、マーケティング用語にF1層(20~34歳の女性)、F2層(35~49歳の女性)といった年齢で分ける用語が存在するが、近年ではNGだ。以前は、女性のライフコースが複雑ではなかったために、20~34歳と、大きな幅で取られていたが、現代では合わない。


未婚か既婚か、子どもがいるかいないかで女性の消費行動はまったく違う。特にF1層の時期は一つにくくると大きな間違いとなる。「男性だってひとくくりにはできないだろ う」と言われるかもしれない。しかし、子どもが幼稚園の時と、子どもが高校生の時で、男性の購買行動に大きな変化は見られない。


女性たちをマーケティング的にくくって会話したい時は、環境が類似状態の「群」でつかんでほしい。そこで意識してほしいのが、ライフコースというクラスターだ。私は、このクラスターを心理的な感覚も含めて「群」という呼ぶこともある。


女性は、年齢、仕事、既婚未婚、子どものあるなしなどで、 興味関心がまったく異なる


女性は、置かれている状態によって興味関心がまったく異なる。 個々によってライフイベントの数、時期が異なるため、差の振れ幅は大きい。弊社では、学習院大学副学長・経済学部経営学科青木幸弘教授にご協力をいただいて、国勢調査をもとに女性マーケットを抽出。注目すべき女性消費者像をまとめたペルソナ分析レポート「HERFACE 21 2021」を作成して販売している。ライフコースは、大きく分けて6つある。

① Single 就業・子どもなし

② DINKs 共働き・子どもなし

③ SINKs 専業主婦・子どもなし ※Single Income No Kids

④ Single Mother 就業・子どもあり

⑤ DEWKs 共働き・子どもあり ※Double Employed With Kids⑥ Sahm’ers 専業主婦・子どもあり ※Stay-at-home Moms



マウンテンパーカー

「私が子育てなんて想像つかない」と言っていた女性も、 出産後は、子どもファーストという別の女性になる


妻が結婚する前と後、子どもを出産する前と後では、別人のように変わったと言う夫の言葉を聞くことがあるが、それこそが女性でもある。女の顔が強い時、母の顔が強い時、妻の顔が強い時、娘の顔が強い時など、平和な暮らしを保つために、女性は自らの責任と役割を変えて人生行路を歩んでいく。  


女性メディアなどでは、よく「女として、妻として、母として」といったような役割別の顔を特集コピーに使用するが、対して男性メディアでは、「男として、夫として、父として」といったようなコピーはほとんど見られない。それだけ女性は、生活の中にいくつもの顔となる 「気分の入れ替え」を起こして役割を変えていく。


女性顧客を理解するためには、6つのうち、どのライフコースを進んでいるのかを横軸に取る。次に縦軸の年齢とクロスさせてライフステージを確認する。 女性は、ライフステージ特有の強い悩みや不安、課題を持っている。 そこに応える商品やサービスを提供することが、共感と共鳴になる。そこから同じステージ内の女性たちへとクチコミが広がりやすい。


母親クラスターは、女性全体の中で、 別格の価値観と消費パワー行動を持つ


女性のなかでも、特に「母親脳」は別格の消費パワー行動を持つ。別の人格の小さな存在が傍らにいる責任が、価値観を根底から変える。


6つのライフコースで言うところの、Single Mother 就業・子 どもあり、DEWKs 共働き・子どもあり、Sahm`ers 専業主婦・子どもありのコースだ。この3つを合わせて「母親クラスター」として 説明を続ける。「母親になる」という女性は、全女性人口における最大ボリューム層となるため、女性視点マーケティングを語るうえで、彼女たちの視点は、絶対に無視はできない。


しかし、母親クラスターは、なっている人でなければ分からない世界がある。どんなに母親になっていない女性が、勉強して近づこうと しても限界がある。実経験は、肉体の変化や痛み、心の葛藤などを継続的に持っているため、母親同士でなければ分からない。母親クラ スターは、子ども1人が成人すると考えると、約20年間。


子どもが2 人、3人となると30年近くは継続されていく日常が始まる。そのため、 環境から大きなストレスを受けて生きていくことになる。最大の関心事は、子どもを守り、危険から回避させることだ。


過去に、一度も母親など経験してはいない1人の女性が、突然に母親になるのだ。男性も父親になると思うかもしれないが、妊娠期間から出産、授乳に至る まで肉体的、精神的な変化は女性側にのみ起こる。そのため、残念ながら「母」という領域には、まったく別格の世界がある。


このライフ コースを歩む女性は、ものすごいスピードで、子どもの危険回避させるための情報、知識が必要となる。常にアップロードを続けていく2人目、3人目になると、少しだけゆとりが出るというのは、母親側に学習経験ができているからだ。


ママ同士や先輩ママたちの情報を必要とする。 ケーススタディだけが頼りとなる


母親同士でしか分からない情報が必要なクラスターでは、母親クラスターの横連携は、強い絆となっていく。また、実母とのつながりも一気に強くなる。母親経験者同士の母娘は、孫を通じて強固な母親ネットワークNO.1チームとなる。


実に、母親クラスターの買物は多岐に渡る。例えば、ベビーカーを 押しているママを見てみよう。子どもを乗せているだけではなく、いくつもの大きなバッグをそこにかけている。通称ママバックと言われる大きなバックには、ミルク、お湯、ジュース、お菓子、タオル、気を散ら すおもちゃ、ティッシュ、おむつ、着替え、よだれかけ、上着、おしり拭き、薬など。


そして自分用の飲み物、今夜の晩御飯の買い物など、す さまじい持ち物点数だ。ママ専門の雑誌やメディアは、ママたちの知恵の共有で溢れている。1週間のスケジュール表が記事で掲載され、1日をどんなふうに上手にやりくりをしているかという事例のオンパレードだ。


母親クラスターへのマーケティングは大変さを認め、 ストレスをきちんと認める姿勢を見せることだ


母親クラスターのマーケティングで大切なのは、まずはその大変さとストレスをきちんと認める姿勢だ。ママは、多方面に神経をとがらせている。そのストレスを常に緩和させるための選択をするので、認めてくれていないと感じる企業にはそっぽを向く。不快感を持つと不買運動さながらの行動も出やすい。


同じ母親たちに急ぎ、不快情報を知らせることで、中身の不快感を事前に回避させるための助け合い行動だ。CMでは、母親クラスターが見て共通項を感じる女優を起用することのほうが共感を持つ。自分たちとほど遠い、または環境がまったく違う女優の起用で、母親向けにもアピールをしようとすると興味を持たれない。


「子どもがいないからできるのよね」「わかってないわ」となる。母親クラスターにとって最も大切なことは、その苦労や大変さを分か ってほしいことだ。その気持ちに響くメッセージや言葉の投げ方が商品を売ることよりも先だ。母親クラスターは、女性消費者の中の最大最強パワーであるにもかかわらず、マーケティングの世界からは遠い存在になりがちだ。


母親クラスターに向けた商品やサービスの開発には、同じ状態にあるモニターや女性社員を介在させていくことが鉄板中の鉄板だ。母親クラスターの視点は、消費者の中で最も厳しい目を持つ。商品が良くても手触りが違う、手触りが良くても重さが違う、重さが良くても色が違う、色が良くてもCMが違う、などだ。

母親クラスターのマーケティングは、プロセスの最初から最後までに一貫して母親視点を入れることだ。


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