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限られた「かけがえのない時間」に気付いて! 父親目線の子育て情報サイト「oton+to(オトント)」発信

父である自分が仕事をして過ごす5年と、5歳から10歳に成長する子どもの5年は違う。そのことに気付き、かけがえのない時間に向き合う方法や父としての立場について語り合う場を作る人がいる。「お父さんと」という意味のタイトルを付けたwebサイト「oton+to」を通して、父親目線の子育てを発信し続ける編集長の布施太朗さんに、子どもや家族との関わりについて伺った。


株式会社パラドックス ブランディング・ディレクター oton+to

編集長 布施 太朗

株式会社リクルートを経て、株式会社パラドックスに入社。2010年 より「父と子の遊びサイトoton+to」編集長。2016年に出版した著書「父親が子どもとがっつり遊べる時間はそう何年もない。」は 紀伊国屋書店、文芸話題の書で1位、Amazon売上ランキング子育て 部門1位を記録。2016年度から3年間、公立中学校PTA会長。「オトンから面白がろう」をコンセプトに、WEBサイトでの情報発信をベースに、親子コミュニケーションツールの開発、家族をテーマにした執筆や講演会・ワークショップ、商品ブランディングなどを行っている。


  oton+to(オトント)| 家族が幸せになる、お父さんスタイル 家族が幸せになる、お父さんスタイル。子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。お父さん!貪欲に遊びましょう。 oton+to(オトント)

目次[非表示]

  1. 1.幼稚園での崖登りをきっかけに子どもとの感覚の違いを意識
  2. 2.「父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。」
  3. 3.家族と良い関係あってこそのお父さんの「働きがい」
  4. 4.夫、男として妻の思いを想像する「かくん」作りで気付くことも
  5. 5.インタビュー

幼稚園での崖登りをきっかけに子どもとの感覚の違いを意識

私がリクルート社を辞めて株式会社パラドックスに入社した十数年前は社員6人でベンチャー企業として走り出したばかり、意気軒昴で荒々しい野武士集団のようでした。ハウスメーカーやデベロッパー 向けに「家族の時間を大切に」といったコンセプトで家の広告を作っていました。でも江ノ電沿線の自宅から表参道まで通っていた私は朝 早く家を出て、子どもが寝た後に帰る暮らしで、子育ては妻に任せきり。妻からは後に「母子家庭のようだった」と言われました(苦笑)。

長男が鎌倉の山の中で毎日過ごす幼稚園の年長だったある日、崖登りが苦手で一人だけ登れないと妻から聞きました。休日、一緒に山 に行くと長男は初めて自分のテリトリーに私が来たことがうれしくて、手を引っ張って案内してくれました。例の崖に着き、手の掛け方や足の置き方を少し教えたら長男はするすると登れたんです。私は 「なんだ、登れたじゃん」と思いましたが、長男は翌日、園長先生や友達 一人一人に「ねえねえ聞いて!」と登れたことを報告したそうです。

私が大したことないと思っていたことが、長男にとってはものすごく大きなことだった。この感覚の違いに気付かず過ごすのは、何ともったいないことか! そこにちゃんと向き合った方が自分も楽しめるのではないかと思い、子どもとの時間を意識するようになりました。



「父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。」

長男が小学3年生になった頃、ふと気付いてしまったのです。「父親 が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない」ということに。つ まり、一緒に出掛け、遊び、風呂に入れるのは幼稚園の頃からのほんの5~6年で、それはかけがえのない時間だと。Twitterでその言葉をつぶやいたらどんどん拡散され、「今初めて気付きました」「もっと前にこのことに気付いていればどんなに良かったか」など、多くのコメントを頂きました。そこで、バリバリ働くお父さんたちに気付いてもらえたらいいなと思い、「父と子の遊びサイト oton+to」を立ち上げました。私が関西出身なので、関西弁で“オトント”。

個人ブログのような形で、自分の失敗談やうれしかったことなどを書きました。子育て指南書のようなものを男性は読まないので、偉そうとか、カッコイイとは違う世界にしたかった。2016年にこの言葉を タイトルにした本を出版してひと区切りついてからは、他の方の失敗談を聞きたいと思い、著名なアスリートや芸能人、社長さんなどにお話を聞くインタビューメディアになっています。

http://otonto.jp/

「oton+to」のwebサイト。「はじめに」には、「子どもとのかけがえのないこの時期を、お父さんが貪欲に楽しみましょう」とある


家族と良い関係あってこそのお父さんの「働きがい」

oton+toは会社の事業として動かしています。そもそもパラドック スは「志の実現を応援する」という考えのもと、取引先企業の理念構 築や商品コンセプトの設計というブランディングをしています。例えば、企業のコーポレートブランディングをするとき、社員の皆さんにいかに「働きがい」を持っていただき、充実した生き方をするかという アプローチでコミットします。お父さんが働きがいを感じていても、 家族から応援されず、良い関係が築けなかったら人生は充実しませんよね。だから、家族にコミットすることはパラドックスがやるべきことだという意義を持つことができできたので、会社の事業として動かせています。

他に、子どもの成長過程での父親の役割やあるべき父親について考える講座「青山お父さん大学」も開催しています。oton+toがインタ ビューで蓄積した成功体験や失敗談、歴史からひも解く父親の姿などについて座学とワークショップで学んでいただいたり、夏休みの絵日記を書いたりしています。お父さんが絵本屋さんで絵本を読んで もらう「絵本ガレージ」では、読んでもらう側の気持ちを楽しんでもらっています。


夫、男として妻の思いを想像する「かくん」作りで気付くことも

コロナ禍で働き方やおうち時間など物理的な状況が一気に変わり、通勤や就業時間などサラリーマン生活の枠の多くが解かれました。これから先の人生を考えると、家での暮らしをどう楽しみ、面白がるかというのはとても大事な気がします。

一方、社会的には家での時間が増えて夫婦間で不満が増えたといった声も聞きます。働く環境は男性中心で女性の事情があまり考慮されていませんが、家庭でも男性の心持ちが「女性には特別な事情があるから」で終わってしまうことが多くはないですか?パラドックスではお客様を理解するとき、よく「イタコする」と言います。恐山で口寄せする、あのイタコですが(笑)、僕はお父さんたちに、奥さんにイタコしてみましょうと言っています。夫、男として奥さん側の視点になって想像し、奥さんの考えに思いをはせてみて、と。

外出規制が続いた昨年4月、家での時間ができたこの時期に家族の約束事、つまり家訓を作ってみようという「かくん作りワークシー ト」をoton+toで作りました。夫と妻が「自分価値観シート」で自分を振り返り、「かくん作りワークシート」に家族みんなが大切にしたいことをまとめます。面倒くさいと思っても、やると何かに気付く人は多いようです。ぜひやってみてください。

シートに向かうと意外に書けないことに戸惑いながら、でもその時間も含めて相手に対して優しい気持ちになれると思います。その気持ちが芽生えることが大切。家庭での楽しさ、今ある暮らしがどのくらいかけがえのないものかを、私自身は感じています。家族のあり方をみんなで話し合える家庭が1組でも増えたらいいですね。




書籍「父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。」(三輪舎)は、男性読者から多くの反応が届いた。

インタビュー

今回は取材をzoomで行った。素敵な海辺での布施さんの写真 は、奥様の美和さん。今までは都心で仕事をしていた布施さん も、コロナ禍でリモートワークとなり、今まで以上に家族との時間が濃くなっているそうだ。ブランディングディレクターの仕事をする傍ら、メディアを立ち上げて編集長になる、というスタイルは、副業とか、働き方改革などの言葉が飛び交う今だが、 布施さんのスタイルは、これからの暮らし方にもヒントがある気がする。

また、『父親が子どもとおもいっきり遊べるのは、子どもが幼稚園の年長くらいから小学校高学年に差し掛かる 頃まで。たった5、6年しかない。』というのは、父母ともにグッと胸にくる。布施さんのような個人からの発信こそが足元から暮らしやすい社会になるのかと思った。

Interviewer
株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役
日野 佳恵子



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日野佳恵子
日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。

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