「女性のヘルスケア」がマーケットに。体を知り、コントロールすることで100年人生を快適に働き、暮らす
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「女性のヘルスケア」がマーケットに。体を知り、コントロールすることで100年人生を快適に働き、暮らす

「女性のヘルスケア」がマーケットに。体を知り、コントロールすることで100年人生を快適に働き、暮らす

「女性のヘルスケア」がマーケットに。体を知り、コントロールすることで100年人生を快適に働き、暮らす

2021年1月10日

健康・暮らし

女性トレンド総研

女性のカラダと心を考えるのは、女性のためだけはでない。男性的な働き方の社会を変え、人生100年時代を快適に働き、暮らすことにもつながる。そして、未開の分野だった「女性が考える女性のニーズ」は大きなビジネスチャンスになる。


そう語り、女性の心と体をトータルに支援し続ける対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長の対馬ルリ子さんに、ヘルスケアを軸に社会を活性化させる方法などについて伺った。




対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿

理事長 対馬ルリ子

産婦人科医師、医学博士、医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス理事長。青森県生まれ。1984年に東京大学医学部産婦人科学教室入局。都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長、女性のための生涯医療センターViVi初代所長を経て、2002年にウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックを開院。2003年に女性の生涯にわたる健康を推進するNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立、全国約600名の医師、医療保健関係者と連携し、さまざまな啓発活動や政策提言を行っている。コロナ禍の2020年秋には、女性を支援する団体活動を発掘、支援していく国の法制化を目指す民間活動「一般財団法人 日本女性財団」を設立。

対馬ルリ子女性ライフクリニック|東京都中央区銀座の女医による婦人科・女性検診
東京都中央区銀座にある対馬ルリ子女性ライフクリニックでは、女医による婦人科・女性検診,更年期障害など、女性生涯のトータルな健康をサポートいたします
対馬ルリ子女性ライフクリニック|東京都中央区銀座の女医による婦人科・女性検診
 

目次

1.健康長寿の日本ならでは 「ヘルスケア」は一大産業に

2.日本の女性医療現場は40年遅れ 北欧では「かかりつけ産科医」も

3.自分の体を知り、“話せる”アプリ 「AIルリ子先生」2021年リリース予定

4.インタビュー後記


 

■健康長寿の日本ならでは 「ヘルスケア」は一大産業に


私は20年前からウィメンズヘルス、つまり女性のヘルスケア分野と医療をつなげることを行ってきましたが、ビジネスや経済と医療がつながっていないことを残念に思っています。


いま日本は、男女格差を測るジェンダーギャップ指数が153カ国中121位にまで落ち、並行するように国の成長の柱だった「ものづくり産業」は下降線をたどっています。この現状を打開するカギの一つは、注目が高まっているヘルスケア分野にあると考えます。


「健康長寿で幸せに長く活躍したい。」それは世界中の人が目指すことです。海外から見ると、日本人は健康で清潔、長生きで真面目といったイメージを持たれています。60歳で「美魔女」と呼ばれる女性がいたり、80歳、90歳になってもカッコイイ女性、男性がいることは一つの看板になるでしょう。


ヘルスケアがうまく行くと、女性は快適に子どもを産み育てられ、男女とも快適に働き、更年期や老年期も元気に過ごせます。この分野を切り開けば日本はどんどん活性化し、世界に売り出せる一大産業になると思います。





■日本の女性医療現場は40年遅れ 北欧では「かかりつけ産科医」も


私が産婦人科医をめざしたのは、1960年代後半にアメリカで女性グループが発刊した革命的なベストセラー『Ourbody Ourselves』を読み、「女性が主役の医療をやろう。現場で女性を助けよう」と思ったからです。


日本の女性医療に関する現場は各国に比べて約40年遅れています。一番進んでいるのは北欧。中でもスウェーデンでは3歳くらいから理解度や発達段階に合わせて性教育が行われ、「自分の生き方」について性差ではなく人との関係性の中で学びます。


フランスでは女の子が15歳になるとかかりつけの産婦人科医を持つことが国の制度として決められています。月経の始まりとともにホルモンが働いて体が変化する時期から気持ちや体の変化について相談できることで、気分のアップダウンや体の変調も少なくなって暮らしやすくなる。つまり、ダウンタイムがなくなるのです。


女性は、妊娠・中絶・出産に命がかかります。妊娠・出産を自分でコントロールできないと、教育や就労に影響が出たり、地域で尊厳を持って生きていくことが難しくなることもあります。


スウェーデンやフランスも、昔は日本同様に男女間のギャップがありましたが、女性が声をあげて是正してきた歴史があります。日本の女性は違和感を感じながらも声が届かないと諦め、我慢している。もっと声をあげていいと思います。




■自分の体を知り、“話せる”アプリ 「AIルリ子先生」2021年リリース予定


ヘルスプランは、キャリアプランやファイナンシャルプランと同じように誰もが作るべきです。どんな体も年とともに疲労し、故障が増えます。健康を考えることは自分の心の中やアイデンティティ、生きる意味を考え、生き方を自分で決めるトレーニングでもあります。人生100年の今、長い時間を使い切り、自分が宿っている体を上手に使いこなして個性的に生きられたらいいですね。


ただ、そのためのリテラシーや健康に関心を持つ人をサポートする専門家が圧倒的に足りません。

そこで人材育成にも取り組んでいます。2003年に、女性の心と体、社会とのかかわりを総合的に捉えるNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立しました。


全国約600名の女性医師・女性医療者と連携して情報提供や啓発活動を行っています。女性健康学校「ジョイ・ラボ」で31回の講座を受講すれば、ヘルスケアに対する資格「女性の健康総合アドバイザー」を取得できます。女性の当事者目線で生涯、健康支援をしたいと思う方はどなたでも入ることができます。


また、2020年は、コロナ禍で様々な女性たちの課題を解決する全国の団体の多くを包括的に支援する必要性を感じ、「一般財団法人 日本女性財団」を立ち上げました。これからは横連携で民間から行政へと働き掛けることが急務と感じています。



「女性が考える女性のニーズ」はものすごくたくさんあります。今までの男性目線の社会では「ないもの」とされてきた未開の分野だけに、フェムテックと言われるテクノロジー分野も発達している今、まさしくビジネスチャンス到来。コロナ禍で社会環境などを含めて変化せざるを得ない今こそ、「変わるタイミング」です。見えていなかったニーズや課題を掘り起こし、解決し、そこまでの道筋を見える化すれば、大きな世界貢献にもなります。これまで低く頭をかがめてきた日本の女性たち、ぜひ思い切ってジャンプして!



 一般財団法人 日本女性財団

 日本女性財団(Japan woman foundation) | 変える、チカラ。日本女性財団(Japan woman foundation)日本女性財団(Japan woman foundation)



■インタビュー後記


2021年、新年号にふさわしい方としてMarke-Jinのインタビューは、女性クリニックのドクターの対馬ルリ子先生にお願いした。その理由は、これから女性の心身に関するマーケットが急速に成長するからだ。また、そうあってほしいという願いもある。



近年、働く女性が急激に増えながら、日本は、「働く女性」マーケットへの理解、経験が極端に少ない国。いまだに世界先進国中、家事育児労働時間は、女性が世界一長く、男性が世界一短い国だとご存じだろうか。女性の就業率だけが増えているいびつさは、女性の心身への荷重負担を起こし、社会問題が表面化している。2021年からは優先課題に必ずなると予測する。


 

日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


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