CO₂排出量<吸収量の実現に取り組む100%オーガニックのファストフードチェーン
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CO₂排出量<吸収量の実現に取り組む100%オーガニックのファストフードチェーン

CO₂排出量<吸収量の実現に取り組む100%オーガニックのファストフードチェーン

CO₂排出量<吸収量の実現に取り組む100%オーガニックのファストフードチェーン

2020年12月10日

女性視点マーケティング

女性トレンド総研

女性視点にはサステナビリティはこれから外せないテーマ。暮らしを通じて地球環境や社会に役立つ自分でありたいと思う女性たちの意識は年々上昇している。そうした視点をビジネスの現場に先行して取り入れている海外事例をよく知る安並氏に、現地レポートからヒントをいただきます。


 

目次

1.建設北欧での収益がマクドナルドを上回るチェーン「MAX」

2.100%オーガニックのバーガー 環境や人種の問題に取り組む

 


■建設北欧での収益がマクドナルドを上回るチェーン「MAX」


日本で広く親しまれているファストフードといえば、一番先に思いつくのがマクドナルドでしょう。ファストフードはこのコロナ禍でも比較的堅調に推移した業界で、ケンタッキーフライドチキンはランチメニューで大当たりしたとも報道されています。



今回ご紹介するのは、マック(MAC)ではなくマックス(MAX Hamburgerrestauranger)。1968年にスウェーデン北部のイェリバリという街で発祥し、北欧を中心に世界に120店舗を展開するファストフードチェーンです。日本のマクドナルドが3000店舗近くで、規模は全く違いますが、北欧では収益においてはMAXがマクドナルドを大きく上回ります。スウェーデンの街を歩くと、赤い文字のMAXという看板がよく目につきます。国民的存在といっても間違いなく、いつ店舗を覗いてもたくさんの人が食事を楽しんでいます。MAXはいったい、他のファストフード店と何が違うのでしょうか?



MAXの店舗外観
MAXの店舗外観



■100%オーガニックのバーガー 環境や人種の問題に取り組む


MAXの店舗の入り口には「100%以上カーボンオフセット」という表示があり、いきなりサステナブルであることが分かります。この表示は、事業で排出した温室効果ガスを吸収する活動が完璧にできている、ということです。店舗に入るとすぐにオーダー用のタッチパネルがあり、もちろんキャッシュレス決済です。


MAXのすごいところは、100%オーガニック。バンズも野菜も、お肉もです。そしてビーガン、ベジタリアン向けのハンバーガーが充実しています。私が好んで食べるのは、バーベキューバーガーセット。ビーガン用のピリ辛バーガーで、これが絶品なのです。ドリンクとフライドポテト付きで95クローナ(約1000円)ほどです。さらには、全ての商品を製造する時に排出される1個または1セットあたりのCO2(二酸化炭素)排出重量がメニュー表に明記されています。



MAXのハンバーガー
MAXのハンバーガー

実は肉製品のサプライチェーンにおけるCO2排出量は、その他の産業に比べて最も多いのです。最近、代替肉が随分増えてきたのも、その流れです。なぜCO2量を表記するのか?それはMAXが事業で排出するCO2を計測し、CO2の排出量よりも植林などを通して吸収量の方が上回る状態にする「クライメート・ポジティブ」(またはカーボンポジティブとも)を実践しているからです。これはMAXと同じスウェーデン生まれの家具量販店イケアなども取り組んでいます。


さらにスタッフの採用の仕方が素晴らしい。「あなたも世界を救いたい?」ハンバーガーチェーンらしからぬ求人のキャッチフレーズです。MAXで働きながらCO2を減らし、地球を救いましょう! ということなのです。そして写真の通り、人種やジェンダーの問題も乗り越えていく、なんともエシカルな採用です。日本の消費者も、企業のサステナビリティへの取り組みに敏感になってきていると感じます。このような企業が全ての産業に生まれるといいですね!



MAXの求人広告。黒人と白人の男女が並び、「あなたも世界を救いたい?」と書かれている
MAXの求人広告。黒人と白人の男女が並び、「あなたも世界を救いたい?」と書かれている





安並 潤

井関産業株式会社 代表取締役社長 容器包装資材の販売、セールスプロモーション事業などの展開を行う中で、サステナビリティを経営のベースとし、経営革新とイノベーションに取り組む。北欧スウェーデンを中心に、サステナブルな仕組み、モデル、商品開発、 行政、教育機関、都市計画をベンチマークし、自社の経営に取り入れる。


 


日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。



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