廃棄されるはずの果物を「レスキュー」 スウェーデンのジュースメーカー
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廃棄されるはずの果物を「レスキュー」 スウェーデンのジュースメーカー

廃棄されるはずの果物を「レスキュー」 スウェーデンのジュースメーカー

廃棄されるはずの果物を「レスキュー」 スウェーデンのジュースメーカー

2020年12月10日

学び・余暇

女性トレンド総研

女性視点にはサステナビリティはこれから外せないテーマ。暮らしを通じて地球環境や社会に役立つ自分でありたいと思う女性たちの意識は年々上昇している。そうした視点をビジネスの現場に先行して取り入れている海外事例をよく知る安並氏に、現地レポートからヒントをいただきます。


 

目次

1.「Rescued Fruits」が作る廃棄前の果物のジュース

2.ばらばらな味や色の違いをポジティブに捉えてもらう

 

■「Rescued Fruits」が作る廃棄前の果物のジュース

さて、今回は「ジュース」のお話。毎日ジュースを飲むという方も多いと思います。コンビニやスーパーで購入するか、あるいは自宅でお気に入りの材料を使ってスムージーや野菜ジュースを作るか。


店頭に並ぶジュースを見てみると、何とも彩り鮮やかで、豊富なバリエーションのジュースがずらりと並んでいます。私もよく野菜ジュースを飲みますが、「1日350gの野菜」とか「栄養強化!」「食物繊維配合」そして「添加物無添加」とうたわれ、選ぶのにも少々迷います。飲みやすくするために果物を加えたり、野菜不足を解消し消費者の健康を支えたりと、まさに機能性食品ですね。


今回皆さんに紹介するのは、スウェーデンのスーパーで出会った「Rescued(レスキュード)」というジュースです。2014年に設立された「Rescued Fruits」というベンチャー企業が手掛けています。初めてその商品名を聞いたとき、「誰をレスキュー(救助)?」と思いました。


普通であれば、消費者をイメージしてしまいますが、なんと、ジュースの材料となる「果物」をレスキューするというのです。私たちの常識では、飲料メーカーが契約農家から大量に仕入れた、規格内の野菜や果物を原料にしてジュースを生産します。なぜなら、その製品に含まれる栄養価や味を一定にしなければ、パッケージの裏面にある表示や国に定められた規格に反することになります。そうなると消費者クレームにつながることもあります。


レスキュードのジュース


レスキュードのジュース
レスキュードのジュース。瓶ごとにジュースの色味が違っているのが分かる。1本あたり約350円

ところがこの「Rescued Fruits」のジュースはこうした概念を覆します。私たちが毎日消費する野菜・果物を含め、世界で生産された食材の全てが消費されるわけではなく、約3分の1が廃棄されています。形や大きさが規格にあわず生産農家から出荷できなかったもの、スーパーで売れ残ったもの、もちろん家庭からも廃棄されます。


「Rescued Fruits」はそうした廃棄される前の果物を集め救助し、できる限り廃棄することを避け、ジュースにして販売しているのです。驚くことに、家庭で栽培された果物も買い取るそうなのです。このジュースはスーパーやコンビニ、カフェでも販売されています。


■ばらばらな味や色の違いをポジティブに捉えてもらう

私たち日本人からすれば「廃棄される果物のジュースなんて……」とか、「風味がバラバラじゃない?」と思うでしょう。オーガニックなので身体にやさしいのですが、虫食いや傷はあたりまえです。


あちこちから集められた材料の果物は味も形も色もばらばらなので、お店に並んでいるジュースの色は商品ごとに少々異なります。その差を、「味の違いを楽しみながら、捨てられる運命の果物を救ってね!」とポジティブに語りかけてきます。


容器はリサイクル可能な可愛らしいガラス瓶で、ラベルもシンプル。何ともクールでおしゃれなジュースなのです。


日本では規格が重視されがちですが、食品ロスが訴えられ消費者の意識も高まっている今、規格外の食材を活用した商品は日本でも今後注目されそうです。



スウェーデンのスーパーの青果売り場
スウェーデンのスーパーの青果売り場

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