女性視点マーケティング戦略コラム vol.8
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第8回目は、社会に影響を与える女性の消費行動7つの内4つを、解説いたします。
HERSTORYでは、長年、女性視点マーケティングを専門に事業を行ってきましたが、
女性視点マーケティングとは具体的に何をどうすることなのか、ということを体系的にお伝えしていきます。
ぜひ、皆様のビジネスにお役立てください。
家族のほとんどのものを女性が買っている「代理購買消費」
夫が妻や子どもの物を代理で買うという行動と比べたとき、妻が、夫や子どもの物を買うほうが明らかに高くなります。
ある総合通販と「誰が本当の顧客か」という分析をしたときに、男性向けのファッションカタログを見て、商品を買っているのはほぼ妻だったという結果が出ています。その逆は皆無に等しいです。夫は、自分の物は自分で買うことはあっても、妻の物を買うという消費行動は希少で、その逆は大いにあるのです。
子どものパンツや靴下、義理の母の誕生日祝い、職場の後輩の結婚祝い、調味料などの補充、災害に備えた保存食、夫の好きなビールなどが頭の中に膨大なアイテムとして納められています。
たとえば、スーパーに行ったときには、今夜の料理のために必要な「目的の食材」を考えつつも、「忘れているモノはないかな」「今週はもう来られないから、ほかに何か買うモノはなかったかな」と必要なモノを思い出そうとします。だから女性の買い物は長くなるのです。気づくと商品点数が増えていき、客単価があがります。
関係性を維持するための「交際維持消費」
交際と聞くとビジネスパーソンの接待とか、職場や友人知人との飲み会と思うかもしれませんが、女性は、カフェタイム+プチギフトというセット行動がよく見られます。
これが交際維持消費です。
字のごとく、日頃からの交際を維持するためのお茶会、ママ会、女子会といった形の「お茶を飲む女性たちの集い」です。女性は、本当にカフェで集うことが好きです。
話は延々に尽きず、ホテルやデパートのカフェなどに行くと、14 時~16 時ぐらいのいわゆる閑散としがちなアイドルタイムであっても、女性同士のグループでほとんどの席が占有されています。
こうした場に出向くとき、女性たちは「プチギフト」を持参することが少なくありません。人数分を配ったり、お互いに交換したりします。ギフトと聞くとお中元、お歳暮、年賀といった仰々しい儀礼行事をイメージするかもしれませんが、女性たちは本当によく身近な場面でギフトを贈ります。
新型ウイルスの拡大で、生活が自粛されたときに、多くの女性が、なかなか会えないから「友達とプレゼントを贈り合った」とか「孫に毎週、お菓子を贈った」とか、「おばさんからマスクをプレゼントされた」などといった発言をしていました。女性たちは、人間関係を維持するための消費行動を常にしているのです。
アンテナを常に張り巡らせている女性の「クチコミ消費」
女性はクチコミをします。私は、女性は存在そのものがチラシだとさえ思っています。表現を変えれば、女性はインフルエンサーで、女性はそもそも、男性よりもしゃべることが好きなのです。「地図が読めない女、話を聞かない男」というベストセラーがありますが、この本の中で男女の一日の発する言語量を比較したところ、女性が3倍という表が載っていました。
こうして情報発信することそのものが好きな女性たちにとって、SNS 社会は最高の環境なのです。より華やかに、より色鮮やかに、お気に入りのモノや風景を撮影しては発信し、それを気に入った人たちがフォローしていくという循環は、女性同士の出会いをつなぎ、大きなコミュニティ化へとつないでいます。実際Instagram は、利用者の6 割以上が女性なのです。
季節やトレンドに合わせた「トレンド消費」
女性の買い物に「旬」は欠かせません。
中でも四季の春夏秋冬。春になれば春らしいネイル、夏になれば透明バッグなどの涼しそうな小物、秋になれば秋らしい深みのリップなど、〇〇らしい、は常套のコピーにつられ、ネイル好きな私は、ネイルサロンに出かけます。
仕事柄、ネイリストに「今はどのデザインが人気ですか?」と尋ねると、ほぼ必ず季節感に合わせた返答が返ってきます。「最近はピンク系が人気ですよ。春らしい色が増えてきていますね」とか、「このごろはブルー系が注目されています。夏が近づいているからかもしれませんね」といった具合です。
このような会話から、女性たちが、その季節に合った色を指定してネイルを依頼しているのがよくわかります。女性雑誌やファッションメディアでは、「この冬、グレーが新しい」「春爛漫、ピンクイエローで街へ出かけよう」「大人の女は、この冬、黒ワンピ( ワンピース) を選ぶ」など、「この( トレンド)」季節」「色」「どんな気持ち」の4 つがキャッチコピーに見られます。女性は毎年、ぐるぐると季節に新しさを足して生き続けているのです。それがトレンドです。
今号の女性視点マーケティングのポイント
女性は総合的な視点で買物をとらえている
家族の買い物行動のほとんどが女性が行っている
交際を維持するために他人とのコミュニケーションを常にしている
常にアンテナを張り巡らせクチコミを参考に消費している
女性は季節感やトレンドに合わせた生活をしている
また女性たちの視点の理解を深めるにはペルソナの理解が不可欠です。
1990年創業以来、一貫して女性消費行動を研究し続けてきたHERSTORYでは、10代、20代、30代、40代、50代、60代の女性ペルソナを29種類も設定し、毎年変わっていく女性消費者のトレンド把握に役立てています。
マーケティング戦略に不可欠な女性ペルソナ設計の方法や、最新情報を知りたい方は、下記「女性ペルソナ設計まるわかり」資料をダウンロードしてご活用ください。
次回は、女性たちの買い物を「木の実拾い」に例え、その購買行動を深掘りします。
日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
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