女性視点マーケティング戦略コラム vol.11
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第11回目は、女性の体内カレンダーと五感を生かした効果的なマーケティング手法について解説します。
HERSTORYでは、長年、女性視点マーケティングを専門に事業を行ってきましたが、
女性視点マーケティングとは具体的に何をどうすることなのか、ということを体系的にお伝えしていきます。
ぜひ、皆様のビジネスにお役立てください。
女性の脳と体は周期性と不安定さには「悩みの共有」が大切
女性の脳は、周期性を持っています。これは排卵など生理との関係が深いです。男性の脳は、胎児期に周期性が不活性化します。女性の脳は、こうした周期性や左右の脳の行き来から、「不安」や「心の揺れ」があるため、女性にとって何より大切なのは「悩みの共有」ができることです。女性同士が、カフェで話す、ロールモデルがいる、相談相手がある、コミュニティサイトで悩みを共有する、傍らで見てくれている人がいる、など、「悩みの共有」をキーワードにすることは、女性脳の本能が求める中枢の「欲求」となります。
体内カレンダーは月単位でカウントされ、ささいなことが目に入る
女性は、体が暦になっています。これを「月経」といい、別名、生理のことです。男女は、共に10歳前後で、初潮や精通を迎えますが、女性の生理は、そこからほぼ毎月約50歳前後まで月単位でカウントがあります。
このように、女性は月単位でカウントする暦のサイクルを体内にもっているのです。この月カレンダーとともに人生の活動的な時代の大半を過ごします。生理の前後から期間中を入れると、月に10日ぐらい「気分が揺れやすい」ときがあるため、心身のバランスを取ろうとします。自らが気持ちを上げる楽しみを探したり、創り出したりするのです。体が暦なら脳も暦を生かしてストレスを癒やそうとします。そのため、日常の小さな変化、ささいな出来事で気分を変えたり、楽しみを見つけだすなどの工夫を取り入れるのです。
季節マーチャンダイジング(MD)を活用が女性の楽しみに
女性は、「もうすぐハロウィーンだから、おばけグッズ買おうかな」「クリスマスだから、玄関にリースをつけよう」「誕生日ケーキをそろそろ予約しよう」身近な暮らしに楽しさを加えることでセルフマネジメントを行っていています。
定期的にやってくる憂鬱な体の変化、それには関係なく毎日が過ぎていくのです。自分のこと、仕事、家事育児、親、知人、地域などさまざまなことが気になるし、だからこそ気を張っています。だからテーブルを飾る、花を生ける、ネイルを華やかにしてみるなど日常に小さなイベントを創り出して気分転換を楽しんでいるのです。
女性視点マーケティングに取り組むときの基本は、季節MDカレンダーを取り入れて、変化を創り出して提案する仕組みを回すことです。女性が集まる店、人気店、売れる商品は、かならず季節MD視点が入っています。
女性は五感が発達している
五感は、筋力やパワーがなく、小さな子どもがいるという状態がある女性たちにとっての予知・察知能力になります。五感は、彼女たちに危険回避を早めにさせるだけではなく、安心さ、心地よさ、幸せ感などを与えてくれます。
女性消費者を引きつけるには、五感に響かせることが重要になってきます。いいモノだけど五感に響かなかったり、使えるけど五感に届かなかったりでは、意味がありません。女性たちの五感を意識したモノづくりサービスづくりはマーケティング戦略で鉄板となります。
<女性の五感>
嗅覚…赤ちゃんの匂い、花の匂いなどを分別します。果物が熟れた匂い、パンを焼く匂いなど、妊娠中に、食の匂いで吐き気を持つなども含めて香りは重要だです。「いいにおい」は、女性には重要な引きつけの要素。それは時に無臭も含まれます。
聴覚…赤ちゃんの泣き声で、お腹がすいたのか、などを聞き分けます。夜中の小さな声でも母親は敏感になっています。鳥の声、水の音、木々の音、風の音、笑い声、料理の音、店内の音楽、上司の声、夫の声それらが「しあわせ」音かを聞き分けます。怒鳴るなど危険音からは出来るだけ遠ざかります。
視覚…女性は、目で見た情報と気持ちが共鳴します。美しいか、違和感がないか、視界に不快はないか、素敵か、おいしそうかなど、見た目の情報はできるだけトータルに「なんかいい感じ」と「感じる」を見ます。いいモノを見た目からも引きつけることができればクチコミも起こりやすいと言えるでしょう。
味覚…おいしいかは男女誰しも大切なことです。女性は自分の食べる物は、子どもにつながっていると本能的に知っています。母親の食べた物で子どもの身体は生まれてくるため、体にいい食べ物に対しては敏感です。味、彩り、栄養バランス、体にいいもの、楽しい雰囲気、そのすべてが「おいしい」につながります。
触覚…「赤ちゃん」の肌触りを基準に、「きもちい」「ザラザラしている」など快不快を判断しています。「まるで赤ちゃんの肌のように」という宣伝文句は、女性に響く言葉です。体に直接あたる商品や食品には大切な感触です。
今号の女性視点マーケティングのポイント
女性の五感を意識したモノづくりサービスづくりが重要
季節マーチャンダイジングを取り入れ、変化を創り出し提案することが大切
次回は、新連載を開始いたします。どうぞお楽しみに!
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
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