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「見えないこと」が価値になる「感じる」女性視点マーケティング(後編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.6


女性視点マーケティング戦略コラム


女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第6回目は、前中編に続いた後編です。トヨタ自動車の事例を交え、女性視点マーケティングの必要性を解説いたします。以前の記事(前編中編)をお読みの上、こちらもお楽しみください。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

女性視点からの商品価値の再定義


たとえば、男性視点ではスペックの数値で商品を訴求しますが、女性視点では活用シーンがイメージできるような単語や伝え方の言い換えをしました。具体的には、男性視点では「最小回転半径4.6メートル」と伝えるところを、女性視点では「切り返しなしでUターンができます」といったようにです。

その他、店内のテーブルや椅子、観葉植物など快適性の見直し、分煙の工夫、トイレのパウダールーム化、授乳室やおむつ替えルームの設置、キッズコーナーや遊具の衛生管理など、ありとあらゆる場面で女性視点を取り入れ、どんどん改善されていきました。同時に、全国から地方各社の女性が一堂に集まる会議も開催されました。当時、まさに女性活躍を推進する動きとしても注目され、個々のディーラーの中で内包されていったのです。


女性視点マーケティングは、従来のマーケティングを疑う


女性が見ている消費社会とは、


  • モノを見ながら常に家族や子ども、関係する人々の使用場面を想像する

  • 選択責任者として、家族に、子どもに、社会によいモノかを選定する

  • 購入時に「モノ+人に優しい状態=商品価値」となる感覚が強い


この3つが大きなポイントとなります。


女性視点マーケティングは、研究すればするほど横に広く、対象やカテゴリーがぐんぐん広がります。女性の消費行動の基本は、モノとモノ以外の「人に優しいか」という気持ちとセットで動きます。女性は、自分と自分に関わる人のために、日々、膨大な情報をキャッチし、加工し、自らも女性たちに伝えます。


あらゆる場面で消費する女性たち


たとえば、家族や友人知人に自分の勝手な気持ちで行なう「おせっかい消費」、家族の使用するモノを代わって購入する「代理購買消費」、友達との話題のために購入する「クチコミ消費」、近々会う友達とのお茶会に持参するお土産やギフトなどの「交際維持消費」など……。あらゆる場面で、自分と自分以外の人を頭に浮かべては買物をするのです。


女性視点マーケティングを研究している間、世の中は、昭和、平成、令和と3つの時代を経ました。20世紀の大量生産、大量消費という時代も終わりを告げ、地球温暖化は進み、災害は増え、疫病に世界が脅かされることになりました。企業は、サステナビリティ(持続可能な)、SDGs(持続可能な開発目標)に向けた姿勢と行動が、いよいよ待ったなしで問われています。同時にマーケティングのキーワードも変化してきました。そこは10年先を感じ取ってきた女性視点マーケティングが大得意とするところなのです。


女性視点マーケティング成功のための4つのお願いと心構え

本コラムをこれから読み進めるうえでのお願い事が4つあります。


  1. 男性と女性は同床異夢。互いの視点は異なるということを素直に受け入れて読み進めてください。男女はあきらかに違います。脳科学の数々の本、大学ゼミとの消費者行動研究、そして私自身の実体験から実証を重ねている内容となっています。

  2. 女性視点マーケティングは、女性客向けだけではありません。幅広いお客様や男性向けの業界にとっても新しいマーケットの創造になり得るので、周囲にすすめてください。知って損のないマーケティングですから。

  3. ひとりで理解してひとりで行動しないでください。従来のマーケティングとは逆の考え方が多々あるため、理解者を増やさなければ成功しません。上司やチーム、取引先と理解を共有し、できるだけ関係者を巻き込んでください。

  4. 女性視点マーケティングは、女性ならばわかるというものではありません。また、女性は「感じる」ことはできても言語化が苦手な場合があります。加えて女性は、ライフイベントが激しく変化します。状態が異なると同じ女性でも理解できないことが発生するので、女性だからこそ女性を俯瞰してほしいと思います。


次回は、時代と共に変化し続けてきた女性のトレンドと生き方について年代を追ってお話しします。


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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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