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時代と共に変化し続ける女性たちのトレンドを探る(後編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.9


女性視点マーケティング戦略コラム


女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第9回目は、コロナ禍の中、女性たちがどのように変化し、社会を塗り替えていく主導者となっていくのかをお話しします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

「リカバリーは私たちの手で」自身で動く2020年


2020年の幕開けは、「リカバリーは、私たちの手で」でした。

まさかその後に、新型コロナウイルスで世界中が大変なことになっていくとは思っていませんでしたが、このキーワードは、妙にその後を予見したような言葉となったのです。


正式には、「リカバリーは、私たちの手で。私が動く、あしたの子どもたちのために。未来意思時代へ」ですが、2月には「サステナブル・ブランド国際会議2020横浜」が開催されました。


リサーチ会社のインテージは、「FRaU」に掲載された「今日からできる100のこと」を参考に45の行動リストを作成し、全国15歳~69歳の男女3206人に調査しています。(https://www.intage.co.jp/gallery/sustainability2/)。

その結果から生活者のサステナブル行動を4分類し、サステナブル行動の意識が高い人から、Super層、High層、Moderate層、Low層とした。上位のSuper層、High層は、どちらも男女比4:6で、女性のほうが高くなっていました。


2020年7月、20代向けの女性ファッション雑誌「ViVi」9月号(講談社)が大きくSDGs特集を組んだのですが、それには、吉本の若手人気芸人EXITを起用し、新鮮な紙面で、読んでいるだけでハッピーになる内容でした。一日一善ならぬ一日一SDGsとして、私たちが身近にできる行動を30日分、30daysとして提案した内容でした。


たとえば、「days2: フードロスえぐい。解決アプリを使うなりー」では廃棄予定の食品をテイクアウトできるサブスクアプリの「Reduce Go」や、予約人数と同じ数の子どもたちに寄付できるグルメ予約サイト「テーブルクロス」などを勧め、「days6:つねに低電力モードでよろたの」では、低電力モードにすることで20%~30%も消費電力が節約できること、いらない写真やアプリを削除するのも有効だと伝えていたのです。


ポップなノリで若い読者にわかりやすく書かれてていて、この号では、エシカルコスメ(環境、人、社会に優しいコスメ)の特集もしていました。SDGsは、特別な人たちの高尚な言葉ではなくなってきたのです。新型コロナウイルスの感染拡大に直面した2020年の「ViVi」の特集は、20代の女性たちが、楽しみながらも持続可能な社会を自分たちの手でつかもうとする行動へと変わっていくことの大切さを指南していました。


暮らしから社会を塗り替えていった2021年


2021年が幕開けました。誰も想像していなかった新型コロナウイルス感染拡大という、価値観を大きく変える1年を過ごして迎える2021年となりました。


たった1年で多くの命を失い、経済不況を起こし、グローバル社会は一転して、世界中で鎖国状態が起きたのです。この期間、女性たちの価値観も大きな変化を余儀なくされていました。

女性消費者調査から見えていたのは、新型コロナ禍における「家庭の衛生管理責任者」という自覚と行動でした。


やがてそれは人を「思いやる、気にかけ合う、応援する買物へ」と意識変化し、その後、定着していったのです。SDGsという言葉の広がりとも重なり、次第に社会に目が向いていきます。


また、デジタルネイティブ世代が活躍する年代となり、クラウドファンディングやネットを活用した寄付や応援が気軽にできる社会になったことも大きいです。

「自分の買物が誰かを幸せにする」ことが身近となり、「同じ買うのなら」「どうせ買うなら」という言葉がよく聞かれるようになりました。


女性雑誌の「FRaU」「ViVi」以外にも、「SPUR」(集英社)、「Hanako」(マガジンハウス)などが次々とSDGsの特集を掲載し、サステナブルという言葉がいよいよ大衆へと広がっていったのです。


2020年秋以降の女性たちへのインタビューでは、「お茶は買わずにパックで。ペットボトルは買っていない」「洋服はリサイクルショップに持って行く」、そして「夫や子どもにエコ意識を啓蒙してきたが、やっと行動するようになった」「友達と誘い合いゴミ拾いのサークルに入った」などのコメントが聞かれはじめました。やはり女性たちは周囲を巻き込みながら生活のリーダーシップを取っているのです。


2021年からの女性たちは、身近な暮らしから少しでも社会に役立つことを主導し始めたのです。


次回は、価値観がくるくると変わる女性に関するデータ変化を読むことで未来が見えることについて解説していきます。


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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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