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家族のための代理購買消費と良好な関係性を維持する交際維持消費

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.17


女性視点マーケティング戦略コラム


女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第17回目は、前回に引き続き、女性特有の2つの消費行動についてお話しします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

家族に必要なものの購入決定をする「代理購買消費」


夫が、妻や子どものモノを代理で買うという行動に比べて、妻が、夫や子どものモノを買うほうが圧倒的に多くなります。

ある大手通販会社と一緒に「誰が本当の顧客か」という分析をした時、男性向けのファッションカタログを見て商品を買っているのは、ほぼ妻だったという結果が出ました。


その逆は皆無に等しかったのです。夫は、「自分のモノは自分で買う」ことはあっても、「妻のモノを買う」という消費行動はとても少ないことがわかります。子どものパンツや靴下、義理の母の誕生日祝い、職場の後輩の結婚祝い、調味料などの補充、災害に備えた保存食、夫の好きなビールなどが、妻の頭の中には膨大なデータとして収められています。


情景と共に必要なものを考えて買い物をする女性の思考


たとえば、スーパーに行った時には、今夜の料理に必要な「目的の食材」を考えつつも、子どもの水筒や習い事のことも考えています。


カートを押して棚を見ながら、「忘れているモノはないかな」「今週はもう来られないから、他に何か買うモノはなかったかな」と必要なモノを、情景と共に思い出そうとします。


一般的に、女性は「シーンでモノを買う」と言われるのは、こうして日常生活と紐づけながら買物をするからです。女性の買物が長いと言われる理由にもつながります。「ついでにあっちも見たい」「こっちも見たい」と動きまわるのは、家族や知人たちのことを想像するためです。

そのため、生活シーンや誰かを想像しやすい売場をつくれば、思い出して購入することも起きます。気づくと商品点数が増え、客単価が上がっていきます。


他人との関係を繋ぐ「交際維持消費」


女性たちは他人との関係をつなぐ消費行動をよくします。そのひとつがちょっとしたプレゼントの小土産やプチギフトです。

小土産は、女子会、ママ友会、趣味の会などの集いの場に持参する品です。プチギフトは、職場の仲間や友人の誕生日や結婚祝い、うれしいことやいいことがあった時など、正式な場ではなくとも、女性同士が集まる場に、お菓子などの手土産を持参することがよくあります。


お中元やお歳暮だけではない女性たちのギフト


ギフトと聞くと、お中元、お歳暮、年賀といった仰々しい儀礼をイメージしやすいかもしれませんが、「久しぶりに大学時代の友達と集まるから」といった理由で、クッキーが2、3枚入ったリボンつきの小袋のような小土産を持参し合います。


アイドルのファン仲間なども、日頃はSNSで交流し、実際のコンサート会場で待ち合わせると、互いが手づくりしたアイドルグッズや、かわいい便箋や封筒を使って書いた手紙やカードを交換したりしています。


インタビューなどでも、「友達とプレゼントを贈り合う」「女子会に持参する小土産にいい品をいつも探している」などといった声をしばしば聞きます。

女性たちの交際維持消費は、女性たちの暮らしに自然に根づいているのです。


次回は、女性の「クチコミ消費」と「トレンド消費」についてのお話です。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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