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消費行動に影響を与えるクチコミ消費と季節を楽しむトレンド消費

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.18


女性視点マーケティング戦略コラム


女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第18回目は、前回に引き続き、女性特有の2つの消費行動についてお話しします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

クチコミリーダーとしての役割を果たす女性の「クチコミ消費」


女性はクチコミをします。私は、〝女性は存在そのものがチラシ〟だとさえ思っています。

表現を変えれば、インフルエンサーです。


弊社では、クチコミリーダーとも呼んでいます。「話題の種をまく人」というイメージです。

『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ著主婦の友社)というベストセラーがありますが、この中で、男女が1日に発する言語量を比較したところ、女性が男性の3倍という結果が書かれていました。


情報発信が好きな女性たちにとって、SNS社会は、最高の環境を提供していると言えそうです。

もっともわかりやすいのが、インスタグラムです。


本来、女性はきれいな写真や絵が好きというのもあって、まさに「映え」という言葉が流行したように、より華やかに、色鮮やかに、お気に入りのモノや風景を撮影しては発信し、それを気に入った人たちがフォローしていくという循環は、女性同士の出会いをつなぎ、大きなコミュニティ化を実現しました。


SNSや口コミからの情報が消費行動に影響を与える傾向


インスタグラムの利用者は6割以上が女性です。

以前(2015年)、成城大学経済学部経営学科の神田範明教授ゼミ(当時)で、男女の買物における情報の関心、興味の違いについて比較調査をしていただきました。

男女で大きな差がないものも多かったが、あきらかに違ったのが、女性のクチコミから入手する情報だったのです。SNSも含めて他人が発信している情報を受けて消費行動に移るのは、多くは女性であることが分かりました。

この時の調査では、クチコミやSNSだけではなく、チラシやフリーペーパーに対しても女性は関心が高く、このことから、多様なルートから情報を得ようとしているのは女性だと言えるでしょう。

女性たちは、入手方法は幅広いですが、総じて他人のクチコミから影響を受ける消費行動をしていたのです。


季節ごとに変わるトレンドに合わせて楽しむ女性の「トレンド消費」


女性たちがもっともわくわくする買物は、トレンド消費です。

話題の商品を買うことは楽しいし、盛り上がります。なかでも季節トレンドは毎年楽しめるルーティンサイクルです。春になれば春らしいネイル、夏になれば透明バッグなどの涼しそうな小物、秋になれば秋らしい深みのある色のリップ、冬にはクリスマスコフレなど、季節と色柄がセットで想像できる女性たちは、季節が変わる度に身につけるモノの色柄を変えて楽しみます。


女性のトレンド消費のさらにすごいところは、ここで、「今年の春のピンクは、透けピンクです」とか、「大人ピンクです」「ガーリーなピンクです」と言ってくるところです。この絶妙なニュアンスに「今っぽい」「今年っぽい」がある。以前、女性スタッフと会話をしている時に、「あの会社のインスタの写真、たしかにきれいですけど、たぶん、フリー素材ですよね。毎年、使いまわしている感じの写真なんです。今年らしさがないから、手抜きしているように見えるんですよね」と言っていました。


新しさを感じ取り、常にアレンジしていく女性たち


女性たちは、常に「新しさ」を感じ取る。トレンド感のある商品を買って、気分を上げています。トレンド消費は、新商品ではなくていいので、「今年っぽい使い方」「今っぽい食べ方」「この秋らしい着こなし」など、今まである商品にアレンジを加えたり、言葉を添えて、いかに新しく感じさせるかという編集力が重要です。


そういえば、20代30代の女性インタビューでは、「検索はインスタ」という言葉がよく聞かれます。

その理由は「新しい情報が入る」からなのです。インスタはトレンド入手に欠かせません。



今回までの記事で紹介しました、女性の「7つの消費」は、いかがでしたでしょうか。


女性たちが、いかに多くの消費に関わっているかを感じ取っていただけたと思います。これらは互いに影響し合っています。ひとりの女性から多数の女性に飛び火して大きな消費が創造されているのです。


次回は、「つながりのため」の消費行動についてのお話です。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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