市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.20
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第20回目は、通過儀礼・冠婚葬祭・年中行事などを特に意識する女性たちの「節目消費」について解説いたします。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
女性が重要視するつながりからの「節目消費」のタイミング
女性たちは、日常生活において、何かにつけて「つながり」を維持して生きています。
女性が起こす消費行動のタイミングに、「節目消費」です。
具体的に分解してみると、おおむね3つの場面があります。
こちらも学習院大学の青木幸弘教授と女性のライフコース研究会の書籍『ライフコース・マーケティング』(日本経済新聞出版)で詳細に紹介されています。女性のライフコースとマーケティングの関係を紐解いた希少な本で、私にとってはバイブルです。深く学びたい方にはぜひおすすめの内容となっています。
通過儀礼 七五三、入学式、卒業式、昇進・転職、還暦など、人間が成長していく過程で次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀礼で、人生儀礼ともいいます。
冠婚葬祭 冠(成人式)、婚(結婚式)、葬(葬式)、祭(法要)といった、人が生まれてから亡くなり、その後に行なわれるものまでを含めた家族的催し物全般を指す言葉です。
年中行事 正月、節分、ひな祭り、七夕、お盆、クリスマスなど、毎年特定の時期に行なわれる行事の総称です。狭義では伝統的な事柄、特に宮中での公事を指すが、広義では個人的な事柄から全国的、世界的な事柄なども含まれます。
たとえば「真珠のネックレス」を販売する時、「たしかな品質の真珠で、価格がお得」といったチラシ風の告知だけであれば、「それでもやっぱり着けていく場が少ないからもったいないかも」となりやすいですが、「娘の卒業式に(通過儀礼)」「お葬式に(冠婚葬祭)」「結婚記念日に(年中行事)」と3つの場面での着用シーンを見せると、「あぁ、あんな場所にも、こんな場所にも、たしかに助かるわ。こんなにいろいろな場面で使えるならお得ね」となります。
女性がお得感を感じるのは使用頻度とその場面
女性の場合、「価格が安い」というのも一手ありますが、いろいろな場面に使えると、さまざまなシーンの数を見せたほうが「お得」と感じます。
複数場面で使えることは大きなお得なのです。どの行事も大事なおつき合い。「面倒くさい、大変」と思う反面、手を抜いて後ろ指を指されるのも避けたいので、「それなりに」の上手な使いまわしの知恵が必要となります。
女性たちの「節目消費」についても、男女比較各100名の調査結果を記載します。こちらもすべてで女性が男性よりも意識が高いのです。
入学式、卒業式、結婚祝い、出産祝いなど、さまざまな節目の行事に対して、強く意識しているのはあきらかに女性だということがわかります。
女性の消費行動に多大な影響を与えている「縁」
女性たちは、年間に多くの節目の行事を意識して消費行動を起こしています。女性視点は「女縁」でブームやヒットをループさせていく「7つの消費」「つながりの消費行動8パターン」「節目消費」で、すでに、女性たちの消費行動がいかに多岐にわたるかを十分に感じていただいたと思います。
この消費行動に多大な影響を与え合っているのが「女縁」、つまり女性同士の縁です。
女性が、「こんな時は何を買ったらいいのだろう」と思う時に、頼りになるのが同じ女性経験者たちのアドバイスです。だから女性は横のつながりの仕組みが重要になります。
次回は、女性の暮らしに密着する「女縁」について解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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