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スープストックトーキョーが仕掛けた共鳴する物語とヒロイン

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.26


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第26回目は、女性のニーズに応えるスープストックトーキョーの事例から、女性たちの共鳴について解説いたします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

女性支持を集めるために必要な世界観と共鳴


女性に支持される企業は、ブランドに物語と世界観があります。


女性にとってのブランドとは、「その物語に自分はいるか」と想像できることです。


女性は物語が好きです。

その世界に浸ることで「共鳴」するのです。


物語と世界観がズレていると女性たちは見破ります。だから社員の意識統一も重要なのです。「らしい」「らしくない」を判断できる基準があるとよいです。ブランドの物語と世界観を理解しやすくするには、“ブランドパーソナリティ”の設定をおすすめしたいと思います。


ブランドを擬人化したスープストックトーキョーの企業情報


ブランドを擬人化し、雰囲気や性格、好きなこと、嫌いなことなどの行動を言語化しておくことで、社内の誰もがブランドを語り行動できるようになります。

女性たちをひととき夢の国に連れて行きましょう。


ひとりの女性の「ふーふー」からはじまったスープ専門店「世の中の体温をあげる」ためのコミュニケーションツールとしての〝スープ〟。


Soup Stock Tokyo(株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道様)

【企業情報】株式会社スープストックトーキョー(東京都)https://www.soup-stock-tokyo.com/

事業内容:スープ専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめとした飲食店および小売店の運営を主とする。食料品の他、繊維製品・雑貨の企画や製造・販売も手掛ける。商品はインターネット等でも通信販売しており、さらに各種イベントの企画なども行なっている。

年商:87億2540万円(2020年3月時点)

創業:2016年2月1日(株式会社スマイルズより分社。Soup Stock Tokyoの店舗自体は1999年に1号店をオープン)


商品ブランドへの理解を深めた創業期の擬人化「秋野つゆ」の存在


株式会社スープストックトーキョーは、添加物に頼らず旬の素材のおいしさを引き出した食べるスープ専門店「Soup Stock Tokyo」を主に運営しています。

現在、全国に60店舗以上を展開し、冷凍スープやレトルトカレーなどの物販に加え、オリジナル雑貨や食卓を彩るアイテムを販売するギフトショップ併設の店舗も展開しているのです。


1999年、東京・お台場に1号店を出店した頃、スープと女性に焦点をあてた飲食店は非常に珍しかったです。当時、三菱商事の社員だった遠山正道さん(現・株式会社スマイルズ代表取締役社長)は、2000年、同社初の社内ベンチャーとして株式会社スマイルズを立ち上げ、このスープ専門店に本格的に取り組みはじめました。


「もともと食のビジネスに興味があり、何をやろうか考えている時に、突然、スープをすすってホッとする女性の絵が浮かんだんです。女性がひとりで気軽に入れる飲食店がないことも気になっていました。早速会社を説得するために、シーンを言語化するための物語を企画書にまとめました」と振り返ります。


スープストックトーキョーを成功へと導いた一人の女性


現在、スープストックトーキョーの会長として「Soup Stock Tokyo」の他、スマイルズの社長としてネクタイ専門店やセレクトリサイクルショップなど、暮らしにまつわるさまざまな事業を手がける遠山さんですが、最初に奔走した「Soup Stock Tokyo」が大きな成功を収めた背景には、ひとりの女性が大きく関わっています。


「秋野つゆ」は、37歳。おっとりしていますが、しっかりしており自立している女性。オシャレに無頓着なのにセンスがよく、装飾的なものは苦手で、シンプルを好む。実はこの女性。遠山さんが「Soup Stock Tokyo」をはじめるにあたり、ブランドを人物に置き換えてみようと試みた結果たどりついた、架空の人物です。


「秋野つゆ」の目線で、立ち上げ当初から同店のロゴや店内装飾、メニューづくりなどが進んでいきました。ブランドに人格を与えたこの存在は、同店のコンセプトをまわりと共有し、細かい消費者ニーズを汲み取るのに大いに貢献し、2020年、同社の年商は87億円を超えるまでになりました。


「ちょうどその頃生まれた娘がアトピーでした。母乳を飲ませるために妻が食事制限をしているのを見て、家族が安心して食べられるような体にいいものをつくりたいという思いもありました」と遠山さん。同店最大のウリである旬の食材を使うことや添加物に頼らないおいしさへのこだわりは、「秋野つゆ」はもちろん、こうした身近な家族から得たヒントも元になっています。


次回は、ブランドを人格化したことで得られた共通認識についてお話しします。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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