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「誰かの役に立ちたい」女性の気持ちを突き動かしたジーユーの女性視点マーケティング戦略 (後編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.32


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第32回目は、前回に引き続き、ジーユーが行っている女性視点マーケティングについて解説いたします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

お客様と「おしゃリスタ」との相互扶助で進化していくジーユー


ジーユーの「おしゃリスタ」制度は、各地の「おしゃリスタ」にとっても、公式サイトに自分のスタイリング写真がアップされることは、大きなモチベーションアップとなります。


全国のお客様から「お気に入り登録」などの反応数なども見えるため、「おしゃリスタ」自身の刺激や励みにもなり、さらにレベルアップにもつながっていきます。さらに、全国の「おしゃリスタ」のスタイリングが見えるため、同じ商品をどんな風に着こなし提案するのかということだけでも学べます。


撮影の構図や写し方のレベルも上がっていき、こうして相乗効果でどんどんブラッシュアップされた魅力的な写真がアップされていくのです。伴ってお客様のファンも増加し、まさに相互扶助で進化をし続けているのです。


こうした「おしゃリスタ」の制度と存在は、採用効果にも絶大です。


ネット上では、「GUのおしゃリスタになるためには」などの検索が多く上がります。「おしゃリスタになりたい!」というのが入社動機の人も多いのです。


バーチャルモデル「YU(ユウ)」を取り入れた戦略


もうひとり、買物に悩む時の力強い味方が2020年春に発表されました。


それが、買う前に試着できるバーチャルモデル「YU(ユウ)」です。


「モデルが着るように、ステキに着こなせない」

「試着する前に、諦めてしまうことがある」

「何が自分に似合うかわらかない」


といったお客様の悩みに耳を傾け、さまざまな商品やコーディネートを、リアルなスタイルで提案するために開発されました。理想のモデル体型でなくても、あらゆる人々に似合う商品や着こなしがあることを伝えるために、第一弾はランダムにセレクトした女性200名に集まってもらい、身体を計測し、その平均データを参考にして作成されたバーチャルヒューマンが「YU」です。


名前は、英語の「YOU(あなた)」が由来。あらゆる人々に親近感を持ってもらい、「あなた」の意見から誕生したバーチャルヒューマンという想いを込めて名づけられました。


今後、身長や骨格を変化させてさまざまな体型にすることで、より多くの顧客の体型に合った商品の提案をする計画があると言います。


バーチャルモデル「YU(ユウ)」のキャラクター設定

  • 身長158㎝。

  • 2020年に20歳になった大学生。

  • 流行に敏感な妹キャラで、かつ「THE自由人」。

  • オシャレと食べることが大好き。苦手なのは、ウソや社交辞令。

  • 特技は外国の言葉を覚えること。悩みは、すぐ体型が変わること。

  • 座右の銘は「よく食べて、よく寝る」。


このように「YU」の役割は、プロのモデルのようなカッコイイ暮らしやスタイルではなく、どこかにいそうな女性に近い体型のバーチャルモデルです。そんな「YU」が商品を着こなすことで、リアリティな商品選びの参考にしてもらう狙いです。


お客様の悩みと向き合うジーユーの取り組み


ジーユーの「おしゃリスタ」や「YU」の取り組みは、「お客様の悩み」に向き合い、応えるために顧客と近い立ち位置で相互関係を築こうとしています。


なかでも「おしゃリスタ」は、お客様と同じ女性です。

トレンドやおしゃれを楽しみたいというお客様とは同世代の女性たちが中心です。ジーユーの商品を通じて、同じ女性のお客様が、少しでもおしゃれに興味を持ち、買物のヒントになってくれることは大きなやりがいにもつながることでしょう。


「おしゃリスタ」同士の相互発展にもつながる「GU STAFF STYLING」の存在も含めて、自分の日々のスタイリングコーディネートが誰かの役に立つ存在になれる働き方は、素敵な仕事だと思います。


Key Point


①自分たちの日常を相互に見せ合うことで向上する。

②等身大、自分事になる目線で情報を提供する。

③誰かの「うれしい」につながる働き方を創り出す。


次回は、コミュニティで「共育」し合うパスコの事例について解説します。


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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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