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コミュニティで「共育」し合うパスコの女性視点マーケティング戦略 (前編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.33


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第33回目は、企業と消費者とがともに成長するための「共育」の重要性について解説します。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

トレンドの「芽」を押さえることができるコミュニティ


企業と消費者が共に成長していくために、コミュニティで常時つながっていることをおすすめしてきました。

以前の記事でご紹介した三菱総合研究所編『女性市場攻略法』(日本経済新聞出版社)のアンケート結果には、成功している企業は「独自のモニター組織から情報収集」「継続的に情報収集」とあり、これにより確信が持てました。さらにこの報告には、「コミュニティのなかで、ヒットを予感させる発言が出ていたのは興味深い」とあります。

一例として「ジェルボール型洗剤」の類似アイデアは商品化される以前から投稿されていたと書かれています。また、ココナッツオイルブームの時は、ブレイクする半年前から女性コミュニティのなかで話題が拡散されており、トレンドの「芽」を押さえることが可能となっていた、という報告もありました。


私たちの日常の調査でも、女性たちは常に先を教えてくれるのです。


具体的にヒット商品の「芽」は、3年あたり前からぽつぽつと出はじめて、半年前には広くSNS上で広がり、メディアなどが「ヒットしている」と取り上げるのは、実際に広がってしまったあとのことです。


さらに、「時流」や「動向」となると、5年~10年先の社会イメージを示唆してくれることが多いです。もちろんこれは聞き取る側が気づかなければ意味はありません。


「共育」の事例には、女性のコミュニティサイトを立ち上げ、社会との共生に向けて企業価値を高める努力をされている企業、敷島製パン株式会社を紹介したいと思います。


代表取締役社長盛田淳夫様と私のインタビューという形で、HERSTORYコーポレートサイトに掲載している記事から事例としてご紹介します。


「共育」を意識したパスコの企業情報


  • コミュニティサイトで、お客様の声を吸い上げる

  • 開発から販促までお客様と共にパスコを育てる

パスコ・サポーターズ・クラブ(敷島製パン株式会社 代表取締役社長 盛田淳夫様)

【企業情報】敷島製パン株式会社(愛知県)https://www.pasconet.co.jp/

事業内容:パン、和洋菓子の製造、販売

年商:1539億円(2020年8月)

創業:1920年6月(大正9年6月)


女性コミュニティサイトを立ち上げたパスコの「共育」の事例


食パンの「超熟」でご存じのパスコ(敷島製パン)は、パン製造メーカーとして全国各地の小売店、ストア、コンビニなど幅広い場所で目にすることが多くあります。



ただ当時は、クラブの担当者以外は、社内でもほとんど活動内容が見えていないという状況で、社内でも積極的にクラブに関わっていくという意識をつくることが出来ていませんでした。


「まずは、社外とのコミュニケーション以前に、お客様の声をストックしておく部門を中心にして社内のコミュニケーションを活発にしなければと思い、SNS専任の部門『SNSマーケティングコミュニケーション室』を立ち上げることを決めました」と盛田社長は話します。


そうして社内にSNSの専任部署が生まれ、すぐさま取り掛かったのが、クローズドの組織になっていたモニター組織をオープンに変更することだったのです。


そして、もっと多くのお客様とつながるための現在のコミュニティサイト「パスコ・サポーターズ・クラブ~Pascoとおいしい時間~」は2017年にオープン。パスコの知名度もあり、公開後すぐに会員は倍となり、その後も成長し続けています。


次回は、中編でパスコ・サポーターズ・クラブの進化とSNSマーケティングの取り組みをお話しします。


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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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