市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.35
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第35回目は、持続可能な社会に貢献するパスコの戦略についてお話しします。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
持続可能な社会と共に、お客様に愛され続ける企業としての責任
国産小麦を100%使った製パンにも挑戦してきました。そこには「競合他社との差別化といったことだけではない」という、熱い思いが盛田社長にはあります。
「差別化が第一ではありません。当社の創業の理念として『金儲けは結果であり、目的ではない。食糧難の解決が開業の第一の意義であり、事業は社会に貢献するところがあればこそ発展する』という思いがあります。」
盛田社長は、自社製造のパンを国産小麦にこだわるという強い意志で挑んでいます。その理由は、国内の食料自給率を上げたいという思いです。
「初代社長盛田善平は、米騒動の時、『小麦粉からパンをつくって米の代わりに供給すれば、米不足の解消になって世の役に立つのではないか』と考え、当時経営していた製粉工場の小麦粉を使って、製パン事業をはじめました。
現在においても、食料自給率の低さは、日本の大きな問題のひとつです。2007~2008年頃には、世界的な穀物相場の暴騰が起きました。当時の製パン業界では、小麦粉はほとんどが輸入に頼っている状況であり、食料自給率向上とは無関係のように思われがちでした。
海外からの小麦が輸入されなくなったらパンづくり自体ができなくなる危機感を抱き、ほとんど目を向けられていなかった国産小麦でパンづくりに挑戦しようと取り組みをはじめました。
先進国の中で最低水準の日本の自給率を、どうにかして上げるために、私たちも貢献したいと思い、『ゆめちから』を中心とした国産小麦で、100%国産小麦のパンをつくることを目指してきました。2030年までに、『社内での国産小麦使用比率20%』を目標に掲げています」
そして敷島製パンは、創業100年を超えました。
新型コロナ拡大によって進化したパスコのSNSマーケティング戦略
この年、新型コロナの拡大によって、華やかなイベントや店頭でのお客様へのアプローチなどの自粛を余儀なくされたのです。
それらは新しい仕事の仕方、お客様との関わり方を考える機会にもなりました。選任部署として立ち上がったSNSマーケティングコミュニケーション室の役割も、顧客コミュニケーションというだけでなく、企業戦略としても位置づけられる重要な部署へと向かっています。
顧客と企業が「共育」しあっている、パスコ・サポーターズ・クラブをぜひのぞいてみてほしいと思います。
ここでは、女性たちが素敵なパンのレシピやアレンジを投稿するだけでなく、アンバサダーと言われる女性たちが、意見交換を行ない、積極的にパスコとの関わりを深めています。
KeyPoint
顧客から直接意見をいただく関係をつくる。
100年を超えて持続可能な社会への責任を果たす。
お客様と一緒に「共育」し合い、共生を目指す。
次回は、近年ささやかれ始めたサステナブルについて解説します。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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