市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.41
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第41回目は、男女の異なる価値観について解説いたします。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
女性が幸せを感じるために大切にしていること
女性脳の「快」は、「幸せ」を感じられることです。
集団で安全な場所で、妊娠中、乳児、子ども、老人、病人なども一緒になって暮らすことです。
もっとも大切なことは、みんなが平和で穏やかなことで、夫の無事を祈り、家族たちと笑顔で過ごしたいということです。
部屋の中では、子どもが口に入れたら危険なものはないか、テーブルの角に頭を打たないかなど、周囲をくまなく見ています。家の中や周辺の不安な要素を減らして、少しでも気持ちよく暮らせるようにしようとします。そのため装飾、花、食器、テーブルクロスなど身近な細々なモノを少しでも自分の心地よいモノで揃えたいと考えています。
女性脳の「不」は、集団から外されてしまうことです。腕力がない女性は、集団行動でわが身や子どもたちを守ろうとします。そのために日頃から、周囲と良好な関係を築こうとするのです。気配り、手土産、おもてなし、互いに興味がある情報の持ち寄り、おしゃべり、そのすべてが女性にとっては、大切な生きる術なのです。
脳の「快」の違いから生まれる価値観の違い
彼女は、自分の好みのデザインや素材の前に、子どもが使用したら自分が片づけることを想像します。
もちろん自分の好みのデザインや色もあります、まずは子どもが汚すことを先に想像し、自分のための車だったら、掃除のしやすさの中から自分の好みを選びます。
夫も、もちろん家族を大切に思っていますが、レザーの内装は譲れなかったのです。家族で楽しく出かけるための車を選んだのかもしれません。しかし、使用シーンから子どもが車内を汚し、片づける自分は想像していないのです。妻の仕事だと、頭の中からは消えているのかもしれません。
女性は、母親になると、物事を見ながら第一に「子どもが使ったら」を頭に浮かべます。何気ない日々の会話の中で、妻は夫のこうした言動を見て、「家族のことを思いやらないなんて冷たい人」と感じてしまうことでしょう。
しかし、この夫が特別でもなければ、悪いのでもありません。これはとても自然な男女の起こり得る「脳」の違いなのです。
夫にとっての「快」は、いい車に乗ってレザーシートに座る自分の達成感。
妻にとっての「快」は、子どもと快適に過ごし、ぐずっても粗相をしても「快適」ができるだけ維持できる装備を得ることで、楽しいドライブ自体が少しでもキープできること。
ふたりにとって、その逆は「不」なのです。
次回は、男女の脳の違いについてさらに詳しく解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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