市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.45
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第45回目は、女性の購買行動について解説いたします。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
木の実を拾うようにあちこち見て回る女性の購買行動
女性の買物は、まるで木の実を拾うような行動です。
よく「女性の買物は長い」と言われています。「妻と買物に行くと、『さっき行った店にもう一度戻っていい?』と言われることがあるが、正直、あの行動がよくわからない」と、妻の行動を不可解だと言う男性がよくいます。
なぜ、女性たちの買物は、木の実を拾うように、あちこち見て歩くのでしょうか。
これも本能的な行動様式に起因します。
行動範囲が狭くなる女性のストレスフリーの暮らし方
女性は、妊娠、出産、子育てをする期間、行動範囲が狭くなります。そんな期間でも、身近な場所で、情報を拾って、楽しめるようにできているからです。行動範囲が狭くても、ストレスにならない暮らし方を身につけているのです。至近距離で楽しみを見つけることが得意にできているのです。
「そのカバン、かわいい」「イヤリング、素敵ね」「ネイル、秋らしいわね」
朝、職場に女性たちが集まると、即座にこんなあいさつでコミュニケーションを交わしています。身近な視界の、他人の姿をパッと見て、持ち物や髪型や服装や表情などを読み取るのです。目の前に、新しい情報やきれいな色が目に入ると気になる特徴があります。
私はスーパーマーケットのマーケティングをアドバイスする時、「目的買いとしての売場」とは別に、「新しい出会いを提供する立ち寄り場」を考えます。
「予定にはなかったけど、思わず買っちゃった!」を起こす足止めスポット。時には、「これ、お母さんに買っていこう」となるし、「あっ、ママ友会で配るのにちょうどいい」と考えて予定外のものを拾っていくのです。
店舗は、女性にとって移ろいゆく美しい野原なのです。
商品は葉や花や木の実で、今一番、おいしいのはコレ! と自信を持って旬やトレンドを押してほしいと思います。
男女の購買行動を整理して言葉にすると、男性はBUY、女性はSHOPPINGの特徴といえるでしょう。
目的のために買物をする男性の購買行動(目的購入)
男性の購買行動は、目的のモノをベストチョイスする探索力と、確実に獲得するスピードが重要で、高品質、高性能なモノを最高の条件でゲットすることに注力します。自分で調べて、比較して、購入を決定するため、他人のクチコミなどにも影響されません。「買物=戦利品の獲得」のような行動です。
出会いを楽しむ女性の購買行動(回遊購入)
女性の購買行動は、SHOPPING(回遊購入)回遊買いを好みます。よい商品を買うための合理的な左脳と、「うれしい」「楽しい」という情緒的な右脳を同時に重視しているのです。買物に来た(左脳)から、せっかくなら出会いを楽しみたい(右脳)と考えます。
POPや友達の評判など他人のメッセージを参考にしやすく、「買物=物の獲得+新しい情報や物に出会う楽しみ」を期待しています。
次回は、五感で移ろいを楽しむ女性の本能について解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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