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間違えてはいけない女性視点マーケティングの分類方法

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.48


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第48回目は、女性マーケティングで必要な分類方法について詳しく解説します。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

女性を年齢で分けるマーケティング手法の限界


女性を集団群(クラスター)で語りたい時、マーケティング用語にF1層(20歳~34歳の女性)、F2層(35歳~49歳の女性)といった年齢で分ける用語が存在しますが、女性視点マーケティングではNGです。

これらの言葉が広告業界で頻繁に使われるようになったのは、2005年前後。その後、15年間で女性たちの多様化は急速に変化したためで、今となっては、ひとくくりにするのは厳しいからです。


多様化したライフスタイルに合わせた分類方法


年齢で女性を分けると、特に産期から子育て期にあたる20代~40代までの女性たちは、個々に異なる状態の暮らしをしているため、ひとくくりにすると大きな捉え方の違いを起こします。


女性は、趣味やライフスタイル、デザインなどの好みといった志向性の分類もありますが、もっとも大きく分かれる分類は、仕事の有無と雇用形態、未婚か既婚か、子どものあるなし、という3つの状態から見ることです。これは女性には圧倒的な影響をもたらします。


女性のライフステージを理解することの重要性


従来マーケティングでは浅く捉えがちだったF1、F2といった大雑把なくくり方は、女性視点マーケティングではNGとして関わるプロジェクトメンバーには、強く理解を求めてほしいと思います。


女性は産期があり、「いつのタイミングで、どこで、誰と、どうするのか」という判断を迫られる期間を持っています。このタイミングは、働き盛りで仕事が面白い時とぶつかるため、ストレスを持ちます。


女性にとっての結婚、出産、育児は、男性に比べて「期間」を意識せざるを得ない重要かつ人生最大の関心テーマとなるのです。従来マーケティングでは、こうした女性心理に対して深刻な研究をしていません。

私の斜めな見方かもしれませんが、女性を「年齢」だけでくくる癖を持っているのは、男性視点からの無意識かつ若い女性に意識がいきがちな「若いか、若くないか」という分類方法で区分けしているように感じます。


女性視点マーケティングで押さえておきたい用語


ここで、女性視点マーケティングについて、このあと説明していくための「用語」も解説をしておきます。

  • ライフコース(人生行路):女性の歩む人生コースを「ライフコース(人生行路)」という。ライフイベントの選択の結果、職業・家族構成によって大きく人生行路が異なる

  • ライフステージ(位置):ライフコース上の一時期(東洋医学の7の倍数の年齢など)の節目と身体の変化によって起こる心身の変化や価値観など段階的に変化する人生の立ち位置

  • クラスター(集団):ライフコース(職業・家族構成)とライフステージ(年齢・世代・心身の節目)などの交点における特徴的な集合体

  • ペルソナ(特徴的な人物の擬人化):クラスターに属している女性の特徴的な人物像の顔や服装、持ち物や暮らしぶりなどを擬人化と共に描く(イラストやイメージ写真などで作成)

  • ライフイベント:人生の転機にあたる出来事。就業・結婚・出産・転職・離婚など、人生の選択肢のこと

  • ライフスタイル:クラスター層の属性や価値観、生き方、生活習慣、人生観、宗教観など。人生を送るうえでの考え方や判断軸。またその行動指向を言う


6つのライフコース分類と21人のペルソナ


弊社では毎年、国勢調査データをもとに女性を分類したレポート「HERFACE」を発表しています。2016年版では、書籍『ライフコース・マーケティング』(日本経済新聞出版)の監修者、学習院大学経済学部経営学科青木幸弘教授にご協力をいただき、6つのライフコース分類と「21人のペルソナ」を製作しました。


2021年版は、新たにに独自調査を加え、15歳以上の女性たちを分類し、実際に同じステージにいる女性たちにヒアリングと修正を繰り返して仕上げました。


私の知る限り「日本の15歳以上の女性」を分類し、ペルソナを作成しているのは弊社だけだと思います(他に存在すればぜひ教えてください)。


次回は、6つのライフコースの分け方について解説していきます。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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