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母親クラスターを意識し地域の声を反映したイオンスタイル豊田の成功事例

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.50


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第50回目は、母親クラスターを意識した女性視点マーケティングについて解説します。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

子供の年齢で分けると分かりやすい母親クラスター


今は、保育園の運動会に行けば、20代のパパと40代のパパが一緒に走るといった風景も珍しくはありません。母親の高齢出産も増えているため、親の年齢でクラスター分けをすると、特に子育て中の母親の場合は、まったく想定と違う状況にあることも多いです。


乳幼児ママ、未就学児ママ、就学児ママ、中高校生ママといったように、子どもの年齢別のクラスターにすることでわかりやすくなります。こうしてグループインタビューで集めると、10歳ぐらいの幅で集まってきます。


子どもが2人、3人という場合は、一番上の子に合わせるとよいでしょう。クラスター調査をする時に、母親の年齢幅が最小になるからです。


イオンスタイル豊田の地域の声を反映した「ママと子どもにやさしい店づくり」


イオンスタイル豊田という愛知県豊田市の総合スーパーでは、2017年のリニューアルオープンに際して、「地域に住んでいるお客様の生活を店づくりに生かす」ために、地域在住の女性たちに集まってもらい、できるだけ意見を聞いて実現させてきました。当時の井上良和店長がこだわったのが、「ママと子どもにやさしい店」でした。


未就学児ママのグループからは、フードコートの設備に関して「ベビーカーでいくとテーブルに横向きに置くため自分の手が空かない。親がゆっくりと食事ができない」という意見が出ました。

また、赤ちゃんはママと相対すると落ち着くというママ目線での意見もあり、そこでカウンターテーブルに穴を開け、赤ちゃんを入れて、向い合わせに座って食べるという「にこにこカウンター」が生まれたのです。


さらに、「子どもが2人いると、カートに座らせることができない」という意見もあり、そこからひとりが座ってひとりが立つという2人乗りのカートも誕生しました。また、トヨタ自動車のお膝元ということもあり、店内にはカーディーラーがテナントで入り、トヨタ車の買物カートが登場、子どもたちに大人気となりました。


地域の人たちの支持とSNS拡散で大ヒット


どちらもインスタやSNSですぐに広まったのです。

何より地域のママたちの意見が反映されているため、参加したママたちも宣伝してくれたのです。ママが買物をして、パパが待っている間に子どもと向き合って食事をしている風景もよく見かけます。


このカウンターテーブルはその後、次々と他の店にも導入されていきました。


次回は、母親クラスターの消費パワー行動について解説していきます。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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