市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.52
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第52回目は、母親クラスターの状況と心の支えについて解説します。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
母親クラスターの知恵が詰まったママバックの役割
母親クラスターの買物は実に多岐にわたります。たとえば、ベビーカーを押しているママを見てみましょう。
子どもを乗せているだけではなく、いくつもの大きなバッグをそこにかけていて、シートの下のカゴにも荷物を積んでいます。通称ママバッグと言われる大きなバッグには、ミルク、お湯、ジュース、お菓子、タオル、気を散らすおもちゃ、ティッシュ、おむつ、着替え、よだれかけ、上着、おしり拭き、薬などです。そして自分用の飲み物、今夜の晩御飯の買物など、すさまじい持ち物の点数です。
パパも子どもを抱っこし、ベビーカーを押している姿はよく見ますが、ぶら下がっているバッグの中身を準備しているのはママでしょう。ママ専門の雑誌やメディアは、ママたちの知恵の共有で溢れています。
常に子供の状況管理をしているママクラスター
1週間のスケジュール表が記事で掲載され、1日をどんな風に上手にやりくりしているかという事例のオンパレードです。
たとえば乳幼児を持つ働いているママの日常です。
幼稚園の送迎はパパママが連携していても、園との連絡、準備や用意物、先生への謝恩、園行事、ママ友たちとの情報交換や関係維持、日々の病気や病院通い、予防注射など、ありとあらゆる子どもの状態管理を意識しています。
仕事で第一線にいる立場の場合、大事なことを忘れたり慌てたりで、自分の至らなさに悩み苦しみつつで過ごしていきます。パパが「手伝うよ」と協力的であっても、「手伝う」という言葉にイラついてしまうことがあるのは、子育ては共同作業であるべきと思っているからです。
主夫を好む男性も増えてきましたが、日々の生活の細々とした目に見えにくい家事作業に気づいてしまうのが女性です。
『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(梅田悟司著 サンマーク出版)、『夫が知らない家事リスト』(野々村友紀子著 双葉社)など、家事育児に関するこんなタイトルの本も増えてきました。
母親クラスターは、圧倒的な情報量を同じママネットワークで集めます。膨大なアイテムを購入、管理しているのです。日々をタイムマネジメントし、自分、子ども、家族、周囲との関わりを取りまわしています。
母親クラスターが理解されることで得られる心の支え
ある時、弊社のママ社員が「夜泣きで子どもが夜中に泣いても、夫はまったく起きません。どうやって泣き止ませることができるのかわからない時は、ツイッターで同じ月齢児を持つママをハッシュタグで探して情報を得ていました。何度SNSで救われたかわかりません」と言ってしました。
母親クラスターにとって理解されることは大きな支えになります。
母親クラスターの「快」は、悩みが共有される環境。
母親クラスターの「不」は、悩みが共有されない環境。
次回は、母親クラスターへのマーケティングについて解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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