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女性クラスター別に変わるトレンド分析(後編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.55


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第55回目は、クラスターごとの特性を理解することの重要性について詳しく解説します。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

セブンイレブンが若い女性の心を掴むことに成功したポイント


セブンイレブンとジェラートピケの組み合わせは驚きましたが、若い世代の女性を取り込む目的の企画であるのなら、着眼は成功したのではないでしょうか。


ここでのポイントは、「若い女性」「独身」「人気のブランド」「今年限定」という要素です。


ケーキひとつとっても、独身女性と子どものいる家庭では、選ぶデザイン、色、形、お酒などの素材に違いがあります。女性はクラスターによって選択基準が異なります。それは別のクラスターにとってはまったく興味のないことが多いのです。


女性ターゲットの多様性を実感したクライアント先の試食会


以前、クライアント先に訪問した時にたまたま、「女性社員を集めた商品開発のための試食会があるので参加しませんか」と声をかけられ、参加しました。


「簡単においしい揚げ物ができる調理粉」について容量とパッケージに対して意見を聞きたい、と女性社員20人ほどを集めて意見を聞いている場面だったのですが、開発担当者が商品の特性を説明し、「どの容量で販売したらいいか、目の前の3つから選んでください」「どのパッケージがお好きか、目の前の3つから選んでください」と聞きはじめました。


結果、容量もパッケージも選択はバラバラに割れました。

担当者が「女性の皆様に聞いても意味がなかったですかね」とつぶやいたので、私はびっくりしました。なぜなら、集まった20人は「女性」ではあるが、独身の20代もいれば、結婚している30代もいれば、子育てが終わった50代もいたからです。


女性のニーズは多様だからこそ重要なクラスターの選定


ある女性は「中学生の息子が2人いるから食事は奪い合い。食べ盛りには量が一番の決め手よ」と言ってましたし、20代の独身女性は「独り暮らしだから自宅で油を使いません。汚れるし。少量タイプに手をあげましたが、私自身は買わないと思います。もし買う場合は、最近は国産小麦にするようにしています」と言っていたのです。


つまり、単に「女性に聞いた」のでは意味がないどころか、大きな間違いを引き起こすのです。


下の図は、「家事」をクラスター内の特徴的なペルソナ別に捉えたケースです。



「時短消費」で考えるクラスター別の商品へのニーズ


「忙しい女性は家事に時短を望む」と、ひと言でくくりがちですが、ペルソナによって時短家事の捉え方がまったく異なります。


シングル女性にとっての時短消費の重きは「掃除(スティック掃除機)」。そして、コト消費は「買物(コンビニ・ネット)」で、求めることは新商品です。


働くママにとっての時短消費の重きは「洗濯」「買物(ネットスーパー)」「掃除(ロボット掃除機)」、「料理」は真ん中に位置します。


料理はできあいの惣菜などを活用しつつ時短にしますが、家族の健康や栄養を考えると母親の責任から後ろめたさがあります。そのため、ど真ん中に「料理」が位置するのです。

運動会や誕生日会などは日頃のできない後ろめたさを補うために、しっかりとつくりたいと考えて「コト消費」側にも位置します。


専業主婦は、時短消費は「掃除」で、ど真ん中には「買物(スーパー)」が位置します。家計を考えて安さが大事だからです。コト消費に「料理」があり、いかにお金をかけずに味も見た目も上手につくるかが腕の見せどころなのです。


こんな風に「時短消費」とひと言で言っても、買物、料理、掃除、洗濯などさまざまな内容があります。


クラスターによってその捉え方は大きく異なるため、商品づくりには、どの機能に重点を置き、どの機能を訴えて宣伝をするかは、どんなクラスターの課題を解決するためのモノかによって大きく異なることを知っておきましょう。


次回は、クラスターの共感する情報発信について解説していきます。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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