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クチコミュニティサイト事例と企業の成長(中編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.59


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第59回目は、消費者の多様なニーズや視点を理解し、それによって共感と信頼を築くことが、ブランドの成長にどのように役立つかを解説します。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

企業の視点とは違う女性消費者の声を聞くことの価値


著書『ファンサイト・マーケティング』の読者からの書評(当時のアマゾンなどに書かれた)には、「大企業だからできること」「今さらコミュニティサイトは古いだろう」など厳しい意見もありました。しかし、古いか新しいかではなく、女性とつながっていくことの重要性を伝えたかったのです。


女性は複雑で多様です。


無印良品が出した海外旅行用のパスポート入れをママたちは、子どもたちの習い事の月謝分類袋として重宝するとクチコミし合い、購入が伸びました。彼女たちでなければならない、メーカーが考えた用途とは異なる視点を女性たちは教えてくれるのです。


「快」「不」は、女性たちに聞かなければわからないというシンプルなことを解決する方法として、ネットはとても有効です。SNSが普及した今、女性消費者の声をしっかりと聞き、それに応じて行動することがいかに重要であったかを、書籍を読み直して改めて確信しています。


当時取材したサイトの現在について、公式サイトから見える範囲で、数値情報の更新を含めて掲載したいと思います。


無印良品のネットコミュニティ「くらしの良品研究所」 の事例


今現在もサイト会員の意見で商品がどんどん改善されているのが見て取れます。


たとえば、スリッパの見直し、リュックの見直し、学習机の商品開発など、無印良品側からのプロジェクトの立ち上げだけでなく、顧客側から「おしゃれな爪磨きがほしいです」「三角コーナーの衛生が気になるので自立型のゴミ袋がほしい」などのリクエストがサイトではそのまま見えます。


そのリクエストに対して、「いいね」やコメントを受けつけ、その後、それらの意見を採用したら、「見直し中」「できました」など、どこまで進捗しているかがわかるようになっているのです。


顧客と共に歩む開発プロセスによる共感


「発売しました」と、商品販売ページがリンクされて紹介されると、サイトを見ているだけで、「やった!」という気分になります。すごいと思うのは、徹底して会員と常に「共」に開発をしている印象があることです。そして、そのプロセスを公開していることにあります。


一例として「スリッパの見直しプロジェクト」では、みんなのスリッパに対する使用場面や頻度、ニーズなどをアンケート調査し、その結果を公開。その後、スリッパの試作品を何度か用意し、サンプル品を会員にモニターとしてホームユースを依頼(テスト商品を送って利用してもらう)。その意見、感想など、すべてがサイトに公開されているのです。当時の取材では、会員は女性7割、男性3割と言われていました。


無印良品ファンは、商品のシンプルさなどだけでなく、こうした顧客と「共」に歩む姿勢にも共感するのでしょう。


次回は、進化し続けるベネッセコーポレーションの「ウィメンズパーク」の事例について解説していきます。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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