市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.74

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第74回目は、購入意欲が高まる効果的なシーン提案と商品配置方法について解説します。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
1枚の絵としてシーンで捉える女性視点
女性の視点は、広角レンズを使って1枚の静止画として二次元的に見る特徴があります。シャッターを連続で切るようにみます。これをシーンといいます。室内写真1枚、店内写真1枚、チラシを上から撮影したような1枚、ウェブを正面から撮影したような1枚、商品を机に置いて写した1枚といったようにです。
商品を見る際、男性は対象物に視点を絞って捉えるのに対して、女性は情景の中に置かれた対象物として広く捉える傾向があります。
たとえば、皿を売る場合、ただ並べるだけではなく、ランチョンマットの上に置いたり、横にスプーンをセットしたり、椅子には誰かが座っているような雰囲気を演出して、「朝食のスープを食べる」というシーンを設定すると効果的です。
シーン提案で購買意欲を刺激する効果的な商品配置方法
ECサイトも同様です。もしソファを売りたいと思ったら、ソファをシーンとして見せた写真を掲載し、その下に写真内の商品をわかりやすく並べたほうが、購入意欲を刺激するでしょう。
たとえば、ソファの下にふわふわのラグを敷き、壁には美しい絵を掛けた部屋の写真を掲載するとします。その写真に使用されているラグや壁掛けなど、すべての商品を一覧にして、まとめて購入できるようにすると効果的です。
また、3点購入でお得になるセット販売なども良いでしょう。「ナチュラルテイストの部屋を丸ごと買える!」といったセット提案は、非常に買いやすいです。アパレル業界でも、マネキンや店員さんが着ている服を「全部そのままほしい」というお客様は少なくありません。
女性が選びやすいカテゴリーを混ぜた販売方法
シーンを用意したら、シーン内に見える商品はすべて売るようにします。これができれば購入点数は増え、客単価も上がります。ちなみに売り場ではよく「つまみ3点1000円」とか「靴下3足1000円」といった売り方を見ることがありますが、女性の場合、使用シーンは多数あり、いろいろ選べるほうが助かるので、カテゴリーを混ぜた「3点」のほうが買いやすいです。ジャム、クッキー、缶詰といったようにです。この方法は在庫整理にもおすすめの売り方です。
ウェブサイトの画面でも、女性は男性に比べて広く見て回遊しているという報告を見つけました。記事は株式会社ギャプライズの鎌田洋介氏(@kamatec)のものです。以下、転載させていただきます。
事例「目的脳」の男性と、「共感脳」の女性!男女のズレをウェブサイトに応用する
ある料理レシピサイトをClickTale(ウェブ解析ツール)で男女がそれぞれどう行動するかを分析してみました。
以下はマウスクリックヒートマップから、ウェブサイトの訪問者がページ内でどの部分をクリックしているかを示したものです。

男性は右、女性は左です。これを見ると、女性ユーザーはトップメニューバーにかなり注目していることがわかります。異なる食べ物のレシピを見るために、さまざまなカテゴリーをクリックしているのです。
女性はまた、レシピよりも左サイドの画像をクリックする割合が高く、多くのページを回遊していることがわかります。男性はそれに対して、クリック自体が女性と比べてほとんどありません。これは男性が検索したものを閲覧した後に、「レシピを知る」という目的のことが完了したため、そのままサイトから離脱していっていることを示しています。「目的脳」の顕著な側面が垣間見える結果となりました。

また、次ページの画像はアテンションヒートマップでの分析画像です(濃くなっているところがより注目されている箇所となります)。
ページの中央に赤い帯(濃くなっている部分)が見て取れるように、男性はレシピの原料と、どのようにして調理するかにマウスが集中しています。対して、女性はヒートマップの濃くなっている部分がページ全体に広がっていることから、ページの上下をブラウジングして、あまり集中してコンテンツを見ていません。
目的のレシピや調理法以外にも、さまざまな画像や情報に反応する傾向があるのでしょう。この2つのヒートマップからわかることは、男性は目的の情報を得るためにウェブサイトを訪れるのに対して、女性は目的をより深く知ろうとブラウジングを行なうという傾向があるということです。
次回は、女性と色の関係について解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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