top of page

ひらがな、カタカナを駆使したオノマトペで惹きつける

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.77

女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第77回目は、女性を惹きつける「語感」と文字のバランスの重要性について解説していきます。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。

 

女性を惹きつける語感と文字のバランス


女性は「感じ取る力」が高いため、「語感」でも惹きつけることができます。


女性に人気のある商品や店舗は、名前そのものが、ひらがな、カタカナ、漢字、記号のバランスで構成されています。以前、日本語の専門家の方と話をしたときに、「ひらがなは、平安時代のギャル語だよ」と言われ、びっくりしたことがあります。


調べてみると、確かに貴族社会において女流文学に多用され、私的な場か、女性によって用いられたことから、平仮名を「女手(おんなで)」と呼んだそうです。これは私の勝手な想像ですが、いつの時代でも、見た目に優しい、かわいい文字を好んだのが女性だったのだと感じます。


響きで心を動かす五感マーケティング「オノマトペ」


「オノマトペ」という言葉をご存じでしょうか。これは擬音語や擬態語を指します。ネーミングや店頭POPにオノマトペを使用すると、同じ商品が急に売れることがあります。


言葉だけで五感で想像できてしまうため、“ハートにキュン”と表現するだけで自分事に想像をふくらませてそんな気持ちに浸れることができるのです。

かつて、女性たちの間で「壁ドン」がブームになったことがありましたが、この「ドン」という言葉の響きが重要でした。もしこれが「彼女の逃げ道を塞ごう」などと言い換えたら、一気に恐怖感に変わってしまいます。


オノマトペは古代ギリシア語が語源で、「語を創る」「名づけ」という意味があります。「響きの模倣」「音の模写」「自然の音に似せて語を創ること」という意味で理解していただければ良いでしょう。ふわふわ、ほかほか、さらさら、キラキラ、ぷにゅぷにゅ、しとしと、コトコト、とろ~り、ほっこり、しっとり、ザックリなど、音の感じや状況を表現する言葉は無限に存在します。


オノマトペで魅力を倍増させる商品ネーミング


特に2文字を繰り返す「コトコト煮る母の煮物」や「ほかほかのお芋」という表現は、聞くだけでおいしそうに感じます。これがただの「煮物」や「芋」では味気ないものになってしまいます。

あるベーカリー売場の開発担当者から、「今までは、メロンパンとして売っていた商品名を『外はザックリ、中はふわふわメロンパン』と変えてみたところ、売上が120%アップしました。これをきっかけに、店内の商品名をすべて見直したところ、ひとり当たりの購入数も増え、客単価もアップしました」という話を聞きました。


食材からスイーツまで魅力的な商品名の秘密


食品宅配オイシックス・ラ・大地の野菜のネーミングは、いつもすばらしいです。たとえば、「あめトマト」「みつトマト」「おしろいキュウリ」「カボッコリー」などがあります。これらを聞くだけで、「あまいトマトだ!」「白いキュウリって?」「カボチャとブロッコリーの間の野菜!?」と、興味がわいてきます。食品や料理メニューは、ネーミングだけで売上が格段に変わるものです。


ローソンのスイーツも、新商品が出るたびに感心します。スイーツ好きの女性社員たちが大活躍しており、ネーミング、カラー、ロゴの3点セットが秀逸です。「バスチー」「ザクシュー」「モチーズ」「ぷるシュー」「どらもっち」「サクバタ」などは、食感が伝わり、なおかつ新しい感じがするため、思わず買ってみたくなります。


また、靴下の岡本の大人気シリーズ「靴下サプリ まるでこたつシリーズ」もすばらしいです。

以前は、冷え性の女性たち用に、足のくるぶしにあるツボ三陰交を温める靴下として発売していましたが、わかりづらく売れませんでした。そこで、ネーミングを一新し、「まるでこたつソックス」と変えたところ、爆発的なヒットとなりました。「靴下サプリ」という新しいカテゴリー名も、女性たちに響きました。


女性たちには、商品を買ったあとの「五感」や「シーン」が想像できる商品名をつけることが大切です。ネーミングは売上を大きく左右するのです。



次回は、プロモーションについて解説していきます。



下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。



 

日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

  • 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい

  • プロジェクトのご相談

  • 弊社サービスへのご質問

上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。



Kommentare


bottom of page