市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.80
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第80回目は、季節や節目に応じた商品提案の重要性について解説します。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
女性が大切にする3つの節目
女性は季節や節目を気にします。「3つのサイ」とは、歳時・祭事・催事のことです。
歳時は、年間を通じた季節行事のことを指します。クリスマス、お正月、バレンタインデー、ひな祭り、母の日、父の日など、1年の中で訪れる例年の行事が含まれます。
祭事は、結婚式、七五三、誕生日、還暦祝いなど、個人の記念行事、いわゆる冠婚葬祭のことです。
催事は、大売り出しや閉店セール、優勝セール、周年記念フェアなどの売り出しイベントやキャンペーンのことを指します。
女性の消費行動を掴む、季節・節目ごとの提案術
いつも棚に並んでいるクッキーがあるとします。歳時なら、「もうすぐクリスマス。毛糸の靴下と一緒に友達にプレゼントはいかがですか?」と、毛糸の靴下とセットで提案してみます。祭事なら、「結婚記念日はいつですか? 今年は、周囲のお世話になった皆様に、『おかげ様』の記念品として、クッキーで幸せのおすそわけ報告はいかがですか?」と提案してみます。催事なら、「地元サッカーチーム優勝! 今、お買い上げの方に、サッカーボールをイメージした丸形クッキーを用意しました。一緒にハッピー気分で盛り上がりましょう!」などです。
同じものでも季節や節目によって「買わなきゃ」と思うことがある女性の消費行動は、よい商品であれば、伝え方や売り方を変えることで、いつでも売れるのです。
読者の商品も「サイ」を切り口に提案を考えてみてほしいと思います。同じ商品でも工夫すれば、年間365回の売る機会を考えられるはずです。
これが女性視点マーケティングの面白いところです。
シーンごとに変わる美しさをサポートする、女性のためのヘアメイクサロンの例
都心の駅チカを中心に、全国で60店舗(2020年12月末時点)を展開するヘアメイク&ネイルサロン「アトリエはるか」。ここは美容室ではなく、女性が気軽に立ち寄ってヘアメイクを直したい時に訪れる店です。創業者の女性は会社員時代、仕事が終わると合コンに行っていたそうですが、会社での自分と、夕方から向かう合コンでの自分で髪型やメイクを直したいというニーズがあり、その場所をつくろうと店を始めたのです。
アトリエはるかでは、女性たちのシーン別のヘアメイクニーズがマップ化されています。食事会、結婚式、デートなど、1日の中でも多彩にシーンが変わります。
その都度、ヘアメイクを変えたいという女性ならではの視点が事業となりました。披露宴や合コンに行った先で、友達から「素敵ですね、その髪型。自分でしたの?」「メイクがとてもいいですね」などと評価されることで、アトリエはるかはお客様の姿自体が宣伝媒体となり、クチコミで広がっていきました。
現シーンの自分から、次のシーンの自分に変身できるアトリエはるかのサービスは、まさに「サイ」の場面が多い女性にとって、「対応するビジネスがない」「自分がほしい」という願いがスタートとなり、拡大していった例です。
次回は、女性たちが使い分けているSNSについて解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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